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《非情のシード落ち》10区残り1kmで逆転された東海、早稲田と明治も…「箱根はごまかしが利かない」と記者が感じる理由
posted2022/01/04 11:06
text by
和田悟志Satoshi Wada
photograph by
Nanae Suzuki
安易な例えかもしれないが、ジェットコースターのようにめまぐるしく順位が変動したレースだった。
1区を終えた時点でトップと3分12秒差の18位と大きく出遅れた順天堂大が、終わってみれば総合2位。4位の東洋大も、4区を終えた時点では12位と低迷していた。
一方で、往路を2位と健闘した帝京大、同4位の國學院大は、復路では一転してまさかのシード権争いに巻き込まれた。
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大手町に帰ってくるまで、全く展開が読めない今回の箱根駅伝だったのではないか。
「最後まで何があるか分からないので、諦めずにいこうよ、って10区の川上(有生、3年)には指示していました。東海大さんのアクシデントがあったにせよ、最後まで諦めなかった川上を褒めてあげたいですね」
こう話すのは、法政大の坪田智夫監督。法政大は、往路は13位。フィニッシュまで残り1kmで東海大を逆転して10位に滑り込み、3年ぶりにシード権を獲得している。
2位・順大から14位・明大までの差は5分55秒しかない
今回は青山学院大がミスのないレース運びで圧勝を飾ったが、1位の青山学院大と2位の順天堂大とは、10分51秒もの大差があった。
その一方で、2位・順天堂大から14位の明治大までは5分55秒しかなかった。1位と2位との差の約半分のタイム差の内に、13校も入っていたのだ(オープン参加の関東学生連合を含めると14チーム)。
「これだけ今、力が拮抗しているということ。1つのミスがあると、一気にドーンと順位が落ちてしまう。だから、怖いなって思いました。あれだけ前にいた帝京さんや國學院さんが、いつの間にか、数十秒前にいましたから。非常に怖いですね」
坪田監督はこんなことも口にしていたが、1つのミスがあれば大きく順位を落とすし、その逆もまたしかり。いわゆるゲームチェンジャーがいれば、大きく順位を上げることもできる。
今季の出雲駅伝や全日本大学駅伝も出入りの激しいレースだったが、今回の箱根駅伝も2位から14位ぐらいまでは、どのように順位が入れ替わってもおかしくはなかった。
2位の順天堂大にしても、3位の駒澤大にしても、1区から10区まで抜かりのないレースができたわけではない。だからこそ、約6分の差に13校もがひしめきあう結果になったのだろう。
不安を抱えた駒大、帝京、國學院の主軸も……
1区間が20km超ある箱根では、なかなかごまかしが利かないのも、改めて思い知らされた。