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久保建英vsバルサがW杯イヤーのリーガ初戦… 年末の試合で見た「タケの身体の進化」と新星たちの奮起〈撮影者の視点〉
text by
中島大介Daisuke Nakashima
photograph byDaisuke Nakashima
posted2022/01/01 11:06
久保建英は2022年ファーストゲームでバルサと戦う
一方でプレーが切れた際には、イ・ガンインが監督に呼び寄せられ、かなり強い口調で指示を与えられていました。失点シーンを含めてグラナダのプレスに苦戦し、前節までの活躍ができていませんでした。
前半も終盤になってくると、久保はまたサイドに開いてボールを受けるようになりました。その際にはイ・ガンインがサポートに入り、2人でのコンビネーションを見せる場面もあり、何度もグラナダ陣地の深くまで久保が切り込むシーンを撮影できましたが、ゴールにまでは結びつきません。また、この時間帯から何度か膝を気にするようなシーンが見られました。
ドリブル中の足元にピントを合わせてみると
久保がかなり撮影ポジションに近づいた際に、ドリブル中の足元にピントを合わせて撮影もしてみました。なかなかピントを合わせることができず“ボツ写真”が増えましたが、しっかり撮れたものもあり、日の丸とTAKEの文字を見てもらえると思います。
ボックス内で久保がロングボールをコントロール、そこから足裏を使ったワンフェイクをいれてダニ・ロドリゲスにパス。久保がリターンをもらおうとコンビネーションを見せましたが、リターンパスが乱れてしまいました。
前半を1-1で終え、後半がスタート。久保は同じく右サイド。後半開始早々、ダニ・ロドリゲスがチャンスを迎えますが、ゴールを割ることはできませんでした。
パスを呼び込む久保。サイドでボールを受けると、強引に切り込みシュートまで持って行きましたが、枠をとらえ切れず悔しがります。一方のグラナダは60分に39歳ホルヘ・モリナが2点目をゲットします。
身体から感じる強さと増したキレ
相手に引っ張られながらも強引に前進する久保は、急ストップしながら足の後ろ側にボールを通して一気に2枚を剥がします。
そこから狙ったスルーパスは、パスをカットにきていたDFの裏をついてDFラインの裏に抜けますが、若干長くチャンスにはなりませんでしたが、怪我明け後のリハビリの成果でしょうか、身体にかなり強さを感じ、キレも増しているようでした。
マジョルカが1点を追いかける展開の中で、久保もゴール前に飛び込みましたが、ボールが来ず、悔しがります。ガルシア監督もコーチングエリア最前線で指示を飛ばします。
サイドから切り込みシュートを狙う久保、また中盤を一気に駆け上がり、なんとかチャンスを作ろうとしましたが。最後までマジョルカはゴールをこじ開けることができませんでした。
この試合ほとんどボールを奪われることもなくチーム唯一の推進力となっていた久保ですが、体力的にも限界が近づいていたか、パスがカットされるなどが見られるようになり、90分のホルヘ・モリナのハットトリック直後には膝に手をつくシーンも見られました。
応援に駆け付けたファンに謝罪しているかのように
クリスマス休暇が入ることも考慮されていたと思いますが、久保にとっては怪我明け後、初のフル出場。しかし、1-4と直接の順位争いをするチームに破れてしまいました。
自分の調子が良かっただけに、チームを勝たせることができなかった悔しさでしょうか、ピッチを後にする表情は苦しそうでした。また、応援に駆けつけたサポーターにあいさつする際は、お礼というよりは謝っているようにも見えました。
90分間起用されたということで、怪我の心配はもうないとの判断だと思いますが、若干気にしているようなシーンもありましたので、休暇でしっかりリフレッシュしていることを願います。
年明けのリーグ戦再開初戦は、ホームにバルサを迎えての一戦。シャビ率いるバルサと若き有望株との対決、そして久保の活躍を期待したいと思います。
最後に――記事の主題とは離れますが、グラナダで面白かったことを一点紹介します。
試合のキックオフが14時だったため、撮影後の送信作業などを終えてからもゆっくり街を散策する時間が取れました。
夕食のため立ち飲みバルなどが軒を連ねる一角に足を運びました。
その中の一店の看板メニューが、キンキンに凍った子豚型(タコのようですが「子豚だ!」とのこと)の陶器に白ワインがが並々と注がれており、それをやや大きめのお猪口のような白い陶器で飲むというもので、小魚のフライに合わせて絶品でした。
カテドラルからも徒歩圏のLa Bodega de Antonio、ぜひグラナダに来た際には。