熱狂とカオス!魅惑の南米直送便BACK NUMBER
ロナウドは“80億円でクラブ買収”など敏腕ビジネス、ロナウジーニョは借金+トラブル… 引退後が対照的かつトリッキーすぎ
posted2022/01/03 17:02
text by
沢田啓明Hiroaki Sawada
photograph by
JMPA
「自分を世に送り出してくれた愛するクラブを再建する機会を手にして、とても興奮している。僕にとって、極めて大きな挑戦となる。サポーターと共に、この素晴らしいクラブを本来の居場所へ連れ戻したい……」
かつてブラジル、欧州、そして世界で人間離れしたスピードとパワー、突出した決定力を見せつけた45歳が、現役時代とは見違えるほと丸くなった顔を綻ばせて抱負を述べた。
12月18日、ブラジルの強豪クルゼイロが、元ブラジル代表FWロナウドがクラブの株式90%を4億レアル(約80億円)で取得することで合意したと発表した。
ロナウド・ルイス・ナザリオ・デ・リマ。ブラジル国内での通称は、「ロナウド・フェノメノ」(超常現象のロナウド)。「フェノメノ」と言えば、彼のことだ。
1993年、16歳でクルゼイロのトップチームに昇格すると、この年のブラジルリーグで14試合に出場して12得点という衝撃のデビュー。1994年に欧州へ渡り、バルセロナ、インテルのエースとして大車輪の活躍を見せ、1996年と1997年の世界最優秀選手に輝いた。
そして2002年、レアル・マドリーでクラブ世界王者となり、3度目の世界最優秀選手に。ブラジル代表でも1994年から3大会連続でワールドカップ(W杯)に参加し、1994年大会と2002年大会で優勝。2011年、現役を退いた。
2部で低迷する名門に帰還したフェノメノ
その男が、27年の時を経て、出身クラブへ帰還したのである。サポーターは大喜びで 「俺たちのヒーローが戻ってきた!」、「フェノメノが救世主となって、クルゼイロは栄光を取り戻す!」と興奮を隠せない。
キング・ペレも、ロナウドのインスタグラムに「アミーゴ、おめでとう。新しい仕事の成功と幸運を祈る」という祝福と激励のメッセージを寄せた。
クルゼイロは、1921年、ブラジル南部の工業都市ベロオリゾンテに創設された。1976年と1997年にコパ・リベルタドーレスを制覇して南米の頂点に立ち、ブラジルリーグでも4度の優勝を誇る。しかし、近年は経営状態が悪化し、2019年にクラブ史上初めて2部へ転落。昨年は中位で1部復帰を逃し、今年は終始、下位に低迷。創立100周年の記念すべき年でありながら、危うく3部へ転落するところだった。
しかも、同じ町に本拠を置く宿敵アトレチコ・ミネイロが1部で50年ぶりの優勝を飾ったとあって、サポーターはこの上なく悔しい思いをしていた。それだけに、「最高のクリスマス・プレゼント」と大喜びだった。