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松井大輔40歳が明かす“サッカー日本代表への本音”「“直接FKの名手”がいないのはさみしい」「もっと辛口の評論家がいてもいい」
text by
栗原正夫Masao Kurihara
photograph byTomosuke Imai
posted2021/12/29 17:06
サッカー日本代表のゲスト解説で話題になった松井大輔(40歳)。今夏FリーグのY.S.C.C.横浜へ移籍、フットサルに転向した
「いい選手が多いので、誰を使うのかが難しい。ベトナム戦は飛行機のトラブルによる遅延もあって(※海外組11人の現地入りが12時間以上遅れた)、コンディションの問題もあったと思います。僕も長く海外にいましたが、むかしは欧州でプレーしている選手が少なかったので、多少無理してでも使った方がよかったというのがあったかもしれません。でも、いまは海外でプレーする選手が増えて、状況はそれぞれ。そのとき旬な選手、いちばん調子のいい選手をピッチに送り出すのがいいんじゃないですかね。1人調子のいい選手がいると、チームを根こそぎ引っ張ってくれたり、相乗効果もありますから」
もう1つ、並びや相性も大事になる。選手同士の間にも呼吸が合う・合わないが当然あるという。
「以前の代表なら(本田)圭佑と(香川)真司がいて、ワンツーで絡んだり、圭佑が相手を抑えて真司が縦のスペースに抜けるみたいな2人の連係があったじゃないですか。東京五輪では堂安くんと久保くんのコンビがうまくいってましたが、最終予選を見ているとそういうのがない気がします。もちろんコンビネーションは最初からあるものではなく、段々と生まれてきて、それがやがて阿吽の呼吸になるのですが……。口で言うのは簡単ですが、そういうバランスもメンバー選考には大事かなと思いますね」
「睡眠薬をもらって調整していたことも」
欧州組が大半を占めるようになった日本代表は(11月の招集メンバー27人のうち17人が海外組だった)、コンディション調整にも苦しんでいるように見える。松井自身も、代表でプレーしていた時代に帰国直後に試合をするという経験を何度もしてきた。とくにコロナ禍で行われている今予選はスケジュールもタイトで、途中にテストマッチを挟む間もなく予選が続いている難しさもありそうだ。
「帰国して2、3日後の試合なら時差ボケが残っていますよね。だから僕は、無理に日本時間に戻さず、帰国してからもヨーロッパ時間のまま過ごしていました。
中東や中央アジアでのアウェイ戦の場合、時差はその中間くらいですが、早朝にアザーン(礼拝の呼びかけ)が大音響で流れてきたり、暑さもあって調整がより難しいと思います。ただ慣れの部分も大きい。僕も場合によってはドクターから睡眠薬をもらったりして調整していたときもありましたし、自分なりのやり方を見つけるのがいいと思います」
「“FKの名手”がいないのはさみしい」
過去のW杯予選を振り返れば、日本代表は大事な局面でFKやCKなどセットプレーで効果的に得点を奪い、試合を有利に進めてきた。遡れば木村和司に始まり、近年は中村俊輔、遠藤保仁、本田圭佑ら、代表の中心には必ずといっていいほど、プレースキックのスペシャリストがいたものだ。だが、現在のチームにはそうした選手は見当たらない。