「過去の日本代表にはフリーキックという武器がありましたが、それがなくなりつつあるのはさみしいですね。僕らのときは俊さん（中村俊輔）やヤットさん（遠藤保仁）がいて、FKからめちゃくちゃ点を取っていましたし、（本田）圭佑が入ってきたときには誰が蹴るかでケンカしたこともあったくらいですから。

　ジーコは毎日練習すればうまくなると言っていましたし、そこは伸びシロがあるはず。だから選手には練習してほしいし、メディアの方にはぜひ指摘をしてほしいと思います。最近はJリーグを見ていても直接FKを決めている選手は少ないですが、また10番の似合うFKの名手が出てきてくれれば。

　ほとんど蹴ったことのない僕が言うのもなんですけど……。僕もチャンスがあれば蹴りたかった。でも、FKって蹴った瞬間に実力がわかるみたいな部分があって。練習で10本中8本決めている人と1本しか入らない人の違いって明らかですから」

2009年9月のオランダとの親善試合。直接FKの場面、本田圭佑が中村俊輔に「自分が蹴る」と主張する場面。最終的には中村が左足を振りぬいた　©AFLO

「辛口の評論家がいてもいい」

　W杯予選は、最後まで予断を許しそうにない。だが、松井は最終予選はいつも苦しいものと話す。

「ギリギリの戦いが続くのは、仕方ない。でも、最終的には勝ってくれると思います。僕としても仕事が減っちゃうし、W杯に行ってもらわないと困りますからね（苦笑）。

　今回の最終予選は地上波のテレビ放送がなくなって、かつてほど盛り上がっていないとか言われているじゃないですか。極端な言い方をすれば、なかには1度くらい予選敗退した方が長い目で見たら盛り上がるんじゃないかとか、そういう発想の人もいると思うんです。ただ、僕としては出てほしいし、そのためにみなさんの温かい目と厳しい目の両方が必要かなって。

©Tomosuke Imai

　海外は代表チームを見る目がすごく厳しい。前線の選手なら点が取れないだけで『アイツは何をやってたんだ！』ってなるし。日本の場合は日ごろからそういうプレッシャーが少し弱かったりする部分はあると思います。だから、応援する人がいれば、もっと辛口の評論家がいてもいい。代表チームって、そうやっていろいろ指摘し合いながら強くなっていくものだと思うし、厳しい目を持つことも日本代表の強化のためには必要かなって思ったりしています」

　W杯に行くためには来年2月のホームでのサウジアラビア戦、3月のアウェイでのオーストラリア戦が山場になりそうだ。

「その2つに勝たないと、アジアでは勝てない。そのためには得点が必要だし、見る側としてもそこを見たいわけです。だから、しっかり得点してくれる選手にどんどん出て来てほしいですね」

＜#3へ続く＞