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原晋監督「体育会流の『ハイッ!』といい返事をする人間は伸びない」箱根の常勝軍団・青学で“ヤンチャな学生”が輝く理由
text by
原晋Susumu Hara
photograph byNanae Suzuki
posted2022/01/02 06:01
箱根駅伝ではエースとしての力走が期待される近藤幸太郎(左)と飯田貴之(右)
「体育会系」ではなく、少しヤンチャなほうがいい
人の指示を待たずに、動いてみる、考えてみる
ビジネスの現場では、そんな返事のいい「体育会系」の学生が人気の時代がありました。たしかに、上司の指示どおりにてきぱきと動いてくれる新人は気持ちがいいものです。あれこれ理屈をこねる社員と比べると、応援したくなるし、仕事を教えたくもなります。しかし、それが許されるのは入社して1、2年目くらいまでのこと。部下を持つ立場になると、上司の指示を待っているだけでは仕事が回らなくなります。
さらに最近は、どんな仕事にも創造性が求められるように、「こういう企画はどうですか?」「今回はこの業界から営業をかけてみましょう」と、新人といえども自分からアイデアを出せる社員のほうが高く評価されるようになっています。
逆に、返事はいいけれど、ミーティングや会議の席で意見を言えない社員は、低い評価になります。
今は、人の指示を待たずに動ける、考えられる人材が伸びる時代です。「監督はそうおっしゃいますが、来週のことを考えるとこちらの練習のほうがいいと思います」と意見するくらい、少しやんちゃな性格のほうが私はいいと思っています。
もちろん、それは監督や上司の言葉にまったく耳を貸さず、好き勝手に振る舞うということではありません。与えられた条件や状況を考えて、自分なりにアレンジできる柔軟な思考を持つということです。そして、その考えを相手にしっかり伝える力をもつということです。
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