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「批判ではなくて、Jリーグの特徴が…」「人が良すぎる」酒井高徳や三都主らが指摘した“日本サッカーと世界の差”をどう詰めるか
posted2022/01/03 06:01
text by
NumberWeb編集部Sports Graphic Number Web
photograph by
Hiroaki Sawada/JMPA/Getty Images
<名言1>
ヨーロッパではトラップが乱れたときに、『あ、これは削られる』と思う瞬間があるんですよ。
(酒井高徳/NumberWeb 2021年11月9日配信)
https://number.bunshun.jp/articles/-/850539
◇解説◇
ヴィッセル神戸と言えばポドルスキやアンドレス・イニエスタの加入を契機に、J1屈指の戦力を有する強豪となった。彼ら外国人選手と同等以上の影響力を及ぼしているのは、酒井高徳だろう。ドイツで揉まれた経験をベースに、デュエルでのタフさを発揮しつつ高い戦術眼とスキルで、サイドでの攻守で優位性を築いているからだ。
「Jリーグ全体がやっているサッカーが、世界と比べられないイメージ。そもそも世界に向かっている感覚すらない」
酒井がこのように提言したのは、2021年2月のこと。Jリーグでプレーしている現役選手がこのような発言をしたことに大きな反響があったが、その後も酒井は「インテンシティ」の大事さを繰り返し説いている。
「攻撃に時間をかけてしまう傾向があるリーグ」
そんな酒井が、2021シーズンが進んだ段階でインタビューに応じてくれた。
「Jリーグはぎりぎりのところで相手より先に裏へ走り込んだりとか、ワンツーで裏を狙ったりせず、攻撃に時間をかけてしまう傾向があるリーグだと思うんですよ」
「これは批判ではなくて、Jリーグの特徴がそうだということ。この形で試合をしている選手が多いから、なかなかインテンシティを身につけられない。その結果、Jリーグの選手はインテンシティを持っていないと、欧州の人たちに思われてしまう。だから声がかかりづらい。かかっても欧州5大リーグじゃなくて、下のランクのリーグになってしまう」
ヨーロッパのサッカーには“ゴールに近づく動き”や“ボールを奪いにいく守備”が根本にあるため、インテンシティが自然と高くなる。ただ日本ではそのマインドセットが“食いつきすぎ”と取られることもあったという。
冒頭の酒井の言葉は、神戸に加入した武藤嘉紀と話した際の気づきである。リーグの特徴と言えばそれまでなのかもしれないが、選手の立場からヨーロッパ視点での意見が出ることによって、Jリーグに多様性が生まれることを期待したい。