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「批判ではなくて、Jリーグの特徴が…」「人が良すぎる」酒井高徳や三都主らが指摘した“日本サッカーと世界の差”をどう詰めるか
text by
NumberWeb編集部Sports Graphic Number Web
photograph byHiroaki Sawada/JMPA/Getty Images
posted2022/01/03 06:01
三都主アレサンドロや酒井高徳らの提言を日本サッカー全体でどう共有していくか
日本人の16歳・杉浦響くんも在籍する同クラブは、すでにブラジルのトップクラブに選手を送り込んでいる。
「売却ではなく、選手の保有権の一部を保持していて、将来、選手が他のクラブに移籍した際に移籍金の一部を受け取る仕組み。将来有望な選手が多く、これからどんな選手になるかとても楽しみだ」
彼らがビッグネームになってくれれば、運営資金のベースになる。そういった経験があるゆえ、三都主は契約期間満了となっての“ゼロ円移籍”や微々たる移籍金で主力を手放すケースについて「人が良すぎる」と看破するのだ。
「優秀な選手を育成し、外国のクラブや国内の裕福なクラブへ移籍する際に正当な対価を受け取れば、それをアカデミーでの選手育成に再投資できるし、クラブの施設を充実させたり、選手にもっと高い給料を払うこともできる……。Jリーグのクラブが外国のクラブを見習うべき点は、まだまだ多いと感じている」
憲剛が語るフロンターレの「意識の変化」とは
<名言4>
いまのフロンターレは、サポーターもクラブのスタッフも、「優勝しなきゃいけないんだ」と思っている。それは、あと一歩で優勝できなかった当時との明らかな違いです。そういう目線でスタジアムに来てもらい、応援をしてもらうと、選手の意識は変わっていきます。
(中村憲剛/NumberWeb 2021年11月4日配信)
https://number.bunshun.jp/articles/-/850513
◇解説◇
現在のJリーグで圧倒的な力を誇っているのは、川崎フロンターレだ。
鬼木達監督のもとで、直近5シーズンのうち4回のJ1制覇を成し遂げ、その間に天皇杯、ルヴァン杯も制覇している。特に2021年はクラブの象徴だった中村の引退、さらにはA代表にも定着した守田英正、シーズン中に田中碧と三笘薫が海外移籍しても、抜群の強さを誇ったからだ。
的確な解説が評判の中村は現在、フロンターレで「FRO(フロンターレ・リレーションズ・オーガナイザー)」という立場にある。
しかし日常的にチーム内にいるわけでなく、「皆さんと似たような位置から見ているので、ホントに凄いと思います」と後輩たちを讃えていた。「シルバーコレクター」と呼ばれていたのがウソのような常勝軍団ぶりだが、取り上げた言葉通り、中村は勝利を積み重ねたことによって、クラブ全体を取り巻くマインドが変わったと感じている。
「17年以降はタイトルを毎シーズン獲っています。言い方を変えれば、自分たちの取り組みが肯定されている。『自分たちがやっていることは優勝につながるんだ、サポーターに喜びをもたらすんだ』と思うことができるわけですから、選手はさらに前向きになれます」
国内三大タイトルを制した川崎に足りないのは、アジア・チャンピオンズリーグ(ACL)のタイトルだ。2022年は浦和レッズ、ガンバ大阪、鹿島アントラーズに次いで、Jで4クラブ目の「アジア最強クラブ」へと駆け上がれるか。