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JリーグPRESSBACK NUMBER
「90分間止まらない、倒れない」 “わずか6年で福島県2部→Jリーグ昇格”いわきFC、衝撃のフィジカル革命《試合前日もベンチプレス》
text by
川端康生Yasuo Kawabata
photograph byJ.LEAGUE
posted2021/12/16 11:02
2022シーズンのJ3昇格を決めた、いわきFC
結局この1年目、いわきFCは全勝優勝。それも10試合93得点1失点という圧倒的なゲームの連続となった。
しかも、そんな状況は福島県2部から県1部、東北2部、1部と毎年昇格を重ねても続いたのだ(23点取った試合もあった)。
ちなみに初めて引き分けたのは東北1部でのブランデュー弘前戦。旗揚げから4年間の所属リーグでの戦績は56戦53勝3分無敗だった。
そんな「圧勝が当たり前」というシーズンが続いても、選手たちが弛まなかったのはこのチームが明確なビジョンを持っていたことが大きかったと思う。
<日本のフィジカルスタンダードを変える>である。
徹底したフィジカル向上への追求
<日本の>は日本サッカーの、と言い換えてもいい。
なぜ日本のサッカー選手はラグビー選手のような体型ではないのか。筋肉をつけると走れない? ラグビー選手はあんなにパワフルにハイスピードで走っているではないか。適切なS&C(ストレングス&コンディショニング)トレーニングを行えば日本サッカーも……。
そんなアプローチである。
ウエイトトレーニングだけではない。栄養、睡眠、遺伝子……。
身体作り(フィジカル)に関することをクラブは徹底的に追求し、そのメソッドを選手たちに提供し続けた。
そして、取り組んだ選手たちは、胸板の厚さやハムストリングの太さといった見た目だけでなく、ゲームやトレーニングでのパフォーマンスでその成果を実感することになった。
成長を実感できればモチベーションは下がらない。それが、それまで経験したことがない新しい取り組みであればなおさらだ。
だから、大勝の連続であってもチームは停滞することなく、進化を続けた。
重馬場状態のピッチでJ1チームを圧倒
そんな彼らのアプローチが間違っていないことを証明したのが、天皇杯でコンサドーレ札幌相手に起こした番狂わせだ。創設2年目、まだ県1部リーグだったときだ。
試合は後半のアディショナルタイムにゴールを奪い合って延長戦に突入するドラマチックな展開。90分を終えた時点でのスコアが2対2だったことからもわかる通り、格下チームが虎の子の1点を守って……というゲームではなかった。
そして延長に入るとJ1チームを圧倒。3ゴールを奪い、5対2で勝ち切ってしまったのだ。
とりわけ驚かされたのは延長戦でのパフォーマンスだ。