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「サッカー選手のイメージは、正直なところ…」宇賀神友弥が“浦和退団発表前”に語った社会貢献とは《女性サッカー選手をサポート》
text by
石井宏美Hiromi Ishii
photograph byaim/Getty Images
posted2021/11/26 17:00
浦和レッズで長年にわたってチームの潤滑油であり続けた宇賀神友弥。ピッチ外の活動でも彼らしさを感じる
大宮の仲田、スタンボーらも参加したインスタライブ
宇賀神はレッズレディースの試合に足を運ぶなど、継続的に女子サッカーに注目してきた。そして構想2年半。日本初の女子プロサッカーリーグ開幕を契機に、ようやくプロジェクトを本格的にスタートさせたのだ。
その活動の一環として、今季WEリーグのホームゲームで、マネジメントを担当する池田、塩越、遠藤の3人がチケットを購入し、招待席にする取り組みを行った。さらに、10月2日の大宮アルディージャVENTUS戦では“さいたまダービー”を盛り上げようと、事前に対戦相手の大宮から仲田歩夢、スタンボー華らも参加し、インスタライブも行った。
今後の具体的な活動は未定だが、様々な取り組みを行っていく予定だという。
「もう少しコロナが落ち着いてきたら、より多くの方々に彼女たちのことを知っていただくために、児童養護施設や介護施設に行って触れ合うような活動や、商店街に行って地域に根付くような活動も行っていきたい。選手もチームも街も、みんなが活性化できるようなものにしていきたいと考えています」
今回の女性アスリート支援プロジェクト以前も、これまで様々な地域、社会貢献活動に情熱を燃やしてきた。彼がそうした活動に力を入れていることは知っていたが、まさかこれほどまでに心血を注いでいるとは知らなかった。
「そういう活動が出来ている選手が少ないなと」
宇賀神は現役選手だからこそ、サッカーを通じて誰かのためにできることがピッチ外でもあるのではないかという確固たる信念のもと、こうした活動を続けてきた。
「プロアスリートというものは地域貢献・社会貢献すべき立場の人間だと思っています。そんななか、あまりにもそういう活動が出来ている選手が少ないなと感じたので、自分自身が活動をすることで、そういった活動を当たり前のように行う文化に定着させたかった」
ただ、本業以外の活動に対して非難する声もなかったわけではない。偽善者だと揶揄されたこともあった。だが、それでもその信念はぶれなかった。もちろん、プロサッカー選手としてピッチ上で輝くための努力も怠ってはいない。
2018年には「一人でも多くのプロサッカー選手が出てきてほしい」という強い思いから、地元・埼玉県戸田市にフットサルコートを建設。人任せにするのではなく、自らパワーポイントで資料を作り、スポンサーの前でプレゼンも行った。ただ、当時は「お金儲けのためにやっているんだ」と地元住民からは揶揄する声も上がったという。その度に周りには熱意を持って説明してまわった。
さらに、2019年には台風19号で水没したレッズランドのグラウンド再建プロジェクトを発足。昨年から続くコロナ禍も医療施設などへマスクの配布を行ったり、フードパントリーを開設して一人親家庭へ食料品の提供も行った。しかも、これらの活動には自身の私財も投じている。
「李忠成選手がレッズにいた時に……」
こうした活動の根底には、世間一般にあるサッカー選手に対するイメージを変えたいという並々ならぬ思いがある。