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投手・大谷翔平「2022年の課題」をあえて挙げるなら… 1つは「対左打者への球種」、もう1つは?《データ分析》
text by
間淳Jun Aida
photograph byUSA TODAY Sports/REUTERS/AFLO
posted2021/11/21 11:03
9勝はエンゼルスのチーム勝ち頭で、100イニング到達も立派な数字だ。しかし大谷翔平なら、投手としてもさらなる進化を見せてくれるはず
スライダーで決めきれなくなれば、大谷は速球とスプリットで左打者を攻める場面が多くなる。最速160キロを超える速球と落差の大きいスプリットは打者の脅威となるが、配球が偏れば攻略の糸口はつかみやすい。球種の割合を見ると、右打者と左打者で大きく異なっている。
左打者相手にも“有効活用したい球種”とは
右打者への速球の割合は38%で、メジャー平均とほぼ同じ。空振りを奪えるスプリットとスライダーに加えて、カットボールも17%と打者は球種を絞りづらい。
だが、左打者に対しては速球が投球の半分を占めている。カットボールも6%と少ない。スライダーで空振りを奪えずに見極められれば、大谷の選択肢は速球とスプリットの二択になってしまうのだ。
森本氏は「今シーズンから投げているカットボールは、もっと左打者に使いたい球種です。左打者の膝元へのカットボールは有効で、打者は意識せざるを得ません。大谷選手が対左打者の成績を改善するにはカットボールを使うなど、変化球を増やすのが重要になると考えています」と説いた。
シーズン終盤の「速球の質」を見ると
もう1つ、森本氏は飛躍のポイントに「速球の質」を挙げた。
「シーズン終盤は速球の質が落ちて、ボールが伸びなくなっていました」
大谷の速球は今シーズン、平均39センチのホップを計測している。最初の登板となった4月4日のホワイトソックス戦では、42センチもホップしている。ところが、シーズン最終登板の9月26日のマリナーズ戦では33センチのホップにとどまっている。その1週間前のアスレチックス戦でも35センチと平均値を下げた。
ボールの伸びは「回転軸」と「回転数」で決まる。回転軸がきれいで回転数が多いほど、ボールは伸びる。4月4日の登板では速球の回転数が2449rpm(1分間あたりの回転数)だった。だが、9月26日は2007rpmと大幅に減っている。大谷の回転軸はシーズンを通してほとんど変わっていない。そうなると、回転数の減少がボールの伸びを欠いた要因と考えられる。
2021シーズン最終登板での《新たな可能性》
森本氏は回転数の減少について「疲れなのか、過去の故障の影響なのかは分かりませんが、疲労が蓄積されるシーズン終盤の課題になるかもしれません」と語った。
ただ、大谷の最終登板からは新たな可能性も感じているという。