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投手・大谷翔平「2022年の課題」をあえて挙げるなら… 1つは「対左打者への球種」、もう1つは?《データ分析》

posted2021/11/21 11:03

 
投手・大谷翔平「2022年の課題」をあえて挙げるなら… 1つは「対左打者への球種」、もう1つは?《データ分析》<Number Web> photograph by USA TODAY Sports/REUTERS/AFLO

9勝はエンゼルスのチーム勝ち頭で、100イニング到達も立派な数字だ。しかし大谷翔平なら、投手としてもさらなる進化を見せてくれるはず

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間淳

間淳Jun Aida

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ア・リーグMVPに輝いた大谷翔平。2021年の投打にわたる大活躍を詳細に分析すると、特筆すべき進化、来季への課題が見えてきた(全2回/打者編も)

 大谷翔平の登場でメジャーの関係者は資料を掘り起こしているだろう。本格的な二刀流を実現させた今シーズン、度々、歴史上の人物ベーブ・ルースと比べられた。それだけ、大谷が残す数字は異次元で、比較対象がないのだ。そのルース以来、103年ぶりと期待された2桁勝利+2桁本塁打にはあと1勝届かなかったが、投手としても進化を見せた。

被本塁打数は右打者3本、左打者12本

 今シーズンの飛躍が申し分ないことは大前提で、来シーズンの課題を示すデータがある。「左打者への投球」だ。

 大谷が対戦したのは右打者が259打席で、左打者が274打席と大差はない。ところが、被打率は右打者.178、左打者.235。そして、被本塁打の数は右打者が3本に対して、左打者は12本と大きな差がある。その理由を、スポーツ科学に基づき野球のデータを解析する「ネクストベース」のトップアナリスト・森本崚太氏が分析する。

「右打者を抑えられた要因には、スプリットとスライダーの空振り率が非常に高いことが挙げられます。一方で左打者に対しては、この2つの球種で空振りが取り切れていません。左打者対策は、来シーズンのポイントになると思います」

 2021シーズンの右打者と左打者に対する球種別の投球結果を見ると、左打者への投球に課題を残したことが分かる。スライダーによる空振りの割合は右打者が18%で、左打者は9%。スプリットも右打者は31%で左打者は21%と、10%も低くなっている。

 スライダーの空振り率の差に、森本氏は「ある種、仕方ない面があります」と話す。大谷のスライダーの特徴は変化の大きさにあるという。メジャーの平均より横の変化が20センチから30センチ大きく、長所である反面、操るのが難しい。

「右打者から奪っている空振りは、ほとんどが外角のボールゾーンです。左打者にとっては内角に入っていくので、見極めや対応がされやすくなります」

 曲がりの大きさを利用して左打者の外角からストライクゾーンに入れる「バックドア」で見逃しは取れているが、空振りを奪えていない。

【次ページ】 左打者相手にも“有効活用したい球種”とは

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