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大谷翔平「きちんとしたフィジカルがあると…」の言葉通り! 超データ分析で浮かぶ《打者で2つの大変化》とは

posted2021/11/21 11:02

 
大谷翔平「きちんとしたフィジカルがあると…」の言葉通り! 超データ分析で浮かぶ《打者で2つの大変化》とは<Number Web> photograph by Nanae Suzuki

46本塁打をマークした大谷翔平。これまでの打撃と何が変化していたのだろうか

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間淳

間淳Jun Aida

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Nanae Suzuki

ア・リーグMVPに輝いた大谷翔平。2021年の投打にわたる大活躍を詳細に分析すると、特筆すべき進化、そして来季への課題が見えてきた(全2回/投手編も)

 常識を覆してメジャーの歴史に名を刻んだ。投手と野手、どちらか1つでもチームの主力にふさわしい成績。だが、大谷翔平は2つの役割を同時にこなした。二刀流成功の理由は、どこにあるのか。大谷はシーズンを振り返る凱旋会見で、こう話した。

「一番はフィジカルがしっかりしていた。そこが技術に一番結びつくところ。きちんとしたフィジカルがあると、できる動きが増えてくる」

「フィジカルの強さ」

 大谷が挙げた飛躍の要因をデータも証明している。メジャー4年目で初めてフルシーズンを戦い抜き、46本塁打を放った。打席数は本塁打王に輝いたサルバドール・ペレス(ロイヤルズ)より26打席、ウラディミール・ゲレーロJr.(ブルージェイズ)より59打席少ない中、2本差まで詰め寄った。

 大谷のフィジカルの強さを表す数字の1つに「打球速度」がある。

打球角度が7度以上も激変した

 スポーツ科学に基づき野球のデータを解析する「ネクストベース」によると、今シーズン、大谷の打球速度の平均は150.7キロ。メジャー全体で6位に入っている。開幕から2週間の時点では151.6キロで11位だったが、順位を上げた。

 シーズンの平均打球速度が最も速かったアーロン・ジャッジ(ヤンキース)は153.3キロ。それでも開幕当初より5キロ以上、速度が落ちていることを考えると、大谷のフィジカル面が1年を通して充実していたことが分かる。

 本塁打に必要な「飛距離」は、主に「打球速度」と「打球角度」で決まる。大谷はメジャートップクラスの打球速度を誇る。そして、ホームラン打者として覚醒した理由は、打球角度が昨年と大きく変わったところにもある。下の表(※外部サイトでお読みの方は関連記事からご覧ください)は昨シーズンと今シーズンの打球速度と角度を球種別に比較したものだ。

 打球角度は昨シーズンの9.2度から16.8度と激変した。

 この数字は、メジャー全体の打球速度トップ5の全選手を上回り、トップ10の選手の中で2番目にあたる。飛躍的に打球に角度をつけられるようになったことが、本塁打の量産につながったといえる。大谷はメジャー平均の速度141.7キロ、角度12度をいずれも大きく超えた。

 そして、注目すべきポイントは、変化球に対する打球の角度と速度である。

 多くの投手が組み立ての軸とするスライダーに対する数字は昨シーズンより角度が15.8度、速度が12.8キロ上がっている。速球だけでなく、チェンジアップやカーブに対しても、本塁打にする速度と角度を習得した。

 「ネクストベース」のトップアナリスト・森本崚太氏は、こう説明する。

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