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「浅田真央がトリノ五輪に出られない」から16年…女子フィギュア界で“シニア参加年齢引き上げ論争”が過熱する理由

posted2021/11/21 11:01

 
「浅田真央がトリノ五輪に出られない」から16年…女子フィギュア界で“シニア参加年齢引き上げ論争”が過熱する理由<Number Web> photograph by Takuya Sugiyama

15歳でGPファイナル優勝を果たした15歳の浅田真央。この年にトリノ五輪を控えていたが規定により出場は叶わなかった

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松原孝臣

松原孝臣Takaomi Matsubara

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Takuya Sugiyama

 2005年12月の騒動を思い出す。

 フィギュアスケートのグランプリファイナルで中学3年生の浅田真央が優勝した。ときはトリノ五輪シーズン、だが浅田にはオリンピックへの出場資格はなかった。オリンピックと世界選手権は前年の6月30日に15歳になっていない選手は出場できない年齢の規定があったからだ。浅田は9月25日生まれのため、対象外だった(平昌五輪シーズンの全日本選手権で3位になった紀平梨花も同規定で代表の選考対象とならなかった)。

 浅田の活躍と年齢の規定はスポーツニュースに限らずさまざまな番組でクローズアップされた。出場が認められるよう働きかけるべきだという声も上がり、小泉純一郎首相(当時)も「どうして出られないのか不思議です。出てもらいたい」とコメントするほどだった。

 なぜ16年前のことを今、振り返るのか。昨今、フィギュアスケートの、特に女子の年齢をめぐるルールに焦点があたっている。しかも、今度は「シニアになれる年齢の引き上げ」を訴える声が強まっているからだ。

選手やコーチも相次いで「年齢引き上げ」に賛同を表明

 2018年、国際スケート連盟は、提案が出ていた女子の年齢引き上げを議会の議題から外したが、昨年、再び検討することを表明。当初の2021年総会から来年に延期されたが、議論されることにかわりない。

 連盟が議題に載せるにとどまらず、選手や指導者の中にも年齢引き上げについて賛同する声が上がるようになっている。2018年にはトリノ五輪金メダルなど長年にわたり男子の第一人者であったロシアのエフゲニー・プルシェンコが支持を表明した。昨年はやはりロシアのエリザベータ・トゥクタミシェワがロシアメディアのインタビューに対し、年齢制限引き上げ案について支持するとした上で、こう語っている。

【次ページ】 問題1)急速に進む「上位で活躍する選手の低年齢化」

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