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藤井聡太19歳と「10代の武豊」の天才性、世代交代… 奨励会にいた競馬記者が感じる共通点+《数少ない難関記録》とは 

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片山良三

片山良三Ryozo Katayama

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photograph by日本将棋連盟

posted2021/11/17 11:03

藤井聡太19歳と「10代の武豊」の天才性、世代交代… 奨励会にいた競馬記者が感じる共通点+《数少ない難関記録》とは<Number Web> photograph by 日本将棋連盟

武豊と藤井聡太。若き天才がその業界の勢力図を変える……ということは往々にして起こる

 その中でも藤井聡太がいま立っている2091(※11月16日時点)は凄まじいほどの強風が吹く孤高。レーティング2位の豊島将之(1929)が相手の竜王戦でも、4回の対戦で得たプラス点は5×4の20で、1局でも負けていたら11のマイナス点がつく計算だった。

 少し負けがこんだ(このクラスだと6割勝っても負けが目立ってしまう)だけですぐに減ってしまうのがレーティング。豊島の1929は、藤井に今年度3勝12敗と削られたことによるものだし、渡辺明の1923も対藤井0勝3敗、永瀬拓矢の1888も対藤井0勝4敗が痛かった。

 この数字を振り返れば、「ビッグ4」という表現はもはや的を射てはおらず、1強を2位グループ3人が追っているという構図ではないか。恐ろしいほどのスピードで、藤井聡太がすでに彼の時代を治めているのがわかる。

藤井がまだ届いておらず、今年度挑戦する偉業とは

 藤井聡太の年度ごとの勝率は、デビュー以来ずっと8割台の高率で推移しているが、中原誠十六世名人が67年に刻んだ47勝8敗。0.8545にはまだ届いてはいない。

 今年の藤井は41勝7敗で.8541(11月16日時点)。これでも驚異的な数字なのだが、年度内に渡辺明三冠との王将戦七番勝負があると仮定すると(ないとすれば、その前に痛い黒星を喫するということだ)、50年以上前の20歳中原五段の記録更新が成るかは実に微妙なところだ。

「私の勝率記録は、当時はそれほど話題になりませんでした。将棋界の記録というもの自体にあまりスポットが当たらなかったんですね。ただ、それが50年以上経っても更新されないとは想像もしませんでした。藤井さんという凄い人が出てきて、私の記録も彼がC級のうちに抜かれるんだろうと思っていましたが、あっという間にC級どころか棋界トップの四冠。強い相手としか当たらなくなる地位に立っても相変わらずの高率ですから、更新の可能性はこれからももちろんあるでしょう。

 ただ、藤井さん自身は記録については意識していないはずです。まずは目の前の将棋に集中するだけ。そうすれば記録は後からついてくるものですから」

 このように、藤井聡太の将棋を、毎局ワクワクする思いで注目していると言う中原さんなのだ。

 ありとあらゆる記録を塗り替えてしまいそうな藤井聡太だが、武豊騎手が全てのGIレース制覇にあと1つ(その後GIが増設されて、いまはあと2つ)というところまで迫りながら足踏みをさせられているように、なにかを取り残す可能性を見せているのも人間らしいと言えるのかもしれない。

記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。

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