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【J1残留争い】劇的勝利にキャプテン号泣、監督と愛弟子が歓喜の抱擁…湘南と清水はシビアすぎる「4チーム自動降格」を避けられるか 

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原壮史

原壮史Masashi Hara

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posted2021/11/10 17:03

【J1残留争い】劇的勝利にキャプテン号泣、監督と愛弟子が歓喜の抱擁…湘南と清水はシビアすぎる「4チーム自動降格」を避けられるか<Number Web> photograph by Masashi Hara

試合後に号泣する湘南DF石原広教(左)と、同点ゴールを決めて感情を爆発させる清水MF滝裕太(右)。残留争いという極限状況の重圧がよくわかる

 第35節、サンフレッチェ広島を相手に70分以上を数的有利な状態で戦いながらもスコアレスドローに終わってしまったように、なかなかゴールをこじ開けることができていないものの、15ある引き分けの内訳を見ると「0-0」が7試合、「1-1」が8試合と失点も少ない。また、負けた試合でもリーグ戦では3点差以上になったことがない。

 昨シーズン途中に、田中聡、石原広教、舘幸希という3バックが機能したことで劇的に改善した守備は、メンバーや配置を替えながらも好調を維持。成長著しいゴールキーパーの谷晃生のレンタル延長も叶い、失点数は35試合で40。これはJ1全体で10位、もちろん残留争いを繰り広げる6チームの中ではもっとも優れている。また現在の得失点差はマイナス6。下位6チーム中2番目の清水がマイナス20であることを考えれば、もし最終的にボーダーライン上で勝ち点が並ぶ状況になったとしても残留圏内に残る可能性が極めて高い。

 もちろん選手たちは「勝たないといけないことは変わらない」(MF平岡大陽)という姿勢を保っている。しかし第36節の仙台戦、第37節の徳島戦と、6ポインターを控える湘南にとって、1度の敗戦ならばなんとかなるという状況はとてつもないアドバンテージだろう。

「勝ち点1でもポジティブに」というマインド

 湘南と清水のポジティブな要素は、下位との勝ち点差という数字だけではない。その数字が与えるメンタルへの好影響も無視できない。

 直近の試合を引き分けた両チームからは、奇しくも「(勝ち点1は)両方に捉えられると思うんですけど、僕はポジティブに捉えています」(湘南・DF岡本拓也)、「最低限の勝ち点かもしれないが、取れたことをポジティブに考えたい」(清水・平岡監督)といった前向きな言葉が聞かれた。

 こと残留争いでは「最後は気持ち」という部分がフォーカスされる。選手たちからも、しばしば「強い気持ちを持って戦う」といったコメントが発せられる。結果をポジティブに捉えるのも、ネガティブに捉えるのも、「気持ち」ひとつであることは言うまでもない。

 時代遅れという批判も含め、この手の精神論はさまざまな切り取られ方をするが、少なくとも残留・降格をめぐる極限の戦いの中では、「重圧に押し潰されてはいけない」「気持ちで負けてはいけない」というマインドセットは間違っていないのだろう。それは、うさぎ跳びや水を飲まないことをよしとする「精神論」とは別の話だ。

【次ページ】 結局「最後は気持ち」なのか?

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