酒の肴に野球の記録BACK NUMBER
「たこ焼きにつま楊枝ついた」世界の盗塁王(1065成功)なのにユルい解説・福本豊 ドラ7→偉大でオモろい伝説《祝74歳》
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph bySports Graphic Number
posted2021/11/07 06:01
世界の盗塁王・福本豊。打者としても2543安打を放った名選手だ
しかし、福本にも同情の余地はある。引退後、在阪民放局の解説者になった福本だが、パ・リーグの試合はほとんどなくて、主な仕事場は甲子園だった。阪神では短期間打撃コーチを務めたことはあったが、パ・リーグ育ちの福本にとって阪神タイガースは「よそのチーム」だったはずだ。アナに同調して「うちのチーム」のように解説をしていたが、「知らんがな」と突き放したくなる瞬間もあったのだろう。
福本が「絶対にやったらあかん」と強調する2つのプレー
ただ、福本は真摯な解説もしている。
「絶対にやったらあかん」と強調したのが、走者のヘッドスライディングと外野手のダイビングキャッチだった。選手寿命を縮めるといった。
「一塁は駆け抜けるほうが速いんです。ヘッドスライディングは遅いうえに、手をスパイクで踏まれたり、頸椎を痛めたりする」と固く戒めていた。
阪急ブレーブスのはるかな後身であるオリックス・バファローズは今季、25年ぶりにリーグ優勝をした。引退後、解説者として、とかく阪神の話ばかり求められてきた福本豊も、心の底から喜んでいると思う。
できれば、福本には日本シリーズで解説してほしいと思う。
そして「福本さん、オリックスが日本一になるために必要なのは?」
と聞かれて、
「そら勝つことやね」とあっさり言って、野球ファンを笑かしてほしいと思う。
<張本・大沢親分の“日曜朝”編に続く>
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