酒の肴に野球の記録BACK NUMBER
日曜朝の張本勲が炎上後《喝!》を自粛してるけど… 「昭和なオヤジの親分」大沢啓二が亡くなってバランスが崩れたのでは?
posted2021/11/07 06:00
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph by
Wataru Sato/Naoya Sanuki
東京五輪に関連する「失言」以来、張本勲に元気がない。先週は例の日曜の番組で、1年半ぶりにスタジオ生出演した。しかしMCの関口宏は、「張さん」にあまりしゃべる機会を与えない。張本自身も遠慮がちにしゃべっていて、舌鋒は鋭くない。「喝!」はほとんどなくなって「あっぱれ!」がちょろっと、という感じだ。
「週刊御意見番」のコーナーで張本勲は「昭和おじさん」発言を連発してきた。
「高校野球の球数制限なんて必要ない」
「私らのころのほうが、プロ野球選手は努力していたし凄かった」
「MLBの選手はへたくそになったね、日本のほうがレベルが上だ」
毎日新しい野球の情報を仕入れている人間にとって、張本勲は「まだこんなこと言ってる」と言いたくなるような存在ではあった。
その挙句に女子ボクシング選手に対する失言をやらかしたのだ。
「昭和の観念」でものを言うのはよろしくない
とはいえ「そうだ、張本の言うとおりだ」というおじさんもいるとは思う。
飲み屋で酒を酌み交わす市井のおじさんならば、あれくらいのことは普通に口にしそうだ。
しかしスポーツは常に「未来」を目指している。アスリートたちは日々アップデートして未来に向かっている。そういうキラキラした若者に「昭和の観念」でものを言うのは、控えめに言っても「よろしくない」のだ。
「週刊御意見番」は同じTBS系で中断をはさんで半世紀以上放送された「時事放談」のスポーツ版といっても良いだろう。政治評論家の細川隆元などが大物政治家を招いて現代政治について語った番組だ。細川隆元は歯に衣着せぬ発言で政治家をへこましていたが、「近頃の若者はなっとらん」的な発言も多かった。
ビートルズ来日への批判などもあって「ジジイ放談だ」などと揶揄されたが、権力者の意向を気にせず筋を正論を言うので、中高年を中心に人気があった。一定の役割があったと言ってよいだろう。
「週刊御意見番」はかなり変質した
「週刊御意見番」も旧来の価値観でモノを言うのが特色で、同様に一定の存在意義があったとは思う。
しかし、近年の「週刊御意見番」はかなり変質した。