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「日常の中で、ふとダービーの記憶が…」エフフォーリア&横山武史は「悔やみ切れないハナ差」をどう乗り越えたのか《天皇賞・秋制覇》 

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藤井真俊(東京スポーツ)

藤井真俊(東京スポーツ)Masatoshi Fujii

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posted2021/11/03 11:01

「日常の中で、ふとダービーの記憶が…」エフフォーリア&横山武史は「悔やみ切れないハナ差」をどう乗り越えたのか《天皇賞・秋制覇》<Number Web> photograph by Photostud

今年のダービーでは、いち早く馬群から抜け出したエフフォーリア(右)にシャフリヤール(左)が追いつき、2頭は並んで入線した

「それは皆さん、そうおっしゃってくださいました。レース直後にはクリストフ(・ルメール)や川田(将雅)さんが“よく頑張った”って声をかけてくださいましたし、アンカツ(安藤勝己・元騎手)さんからも後日、同じようなことを言っていただいて……。本当にありがたかったですけど、それでもわずか10cm差ですからね。自分の中では“もう少し仕掛けを我慢した方が良かったんじゃないか? でも最後までエフフォーリアは止まっていなかったし……”とか、色々と考えてしまうわけですよ。また人によっては“勝ったシャフリヤールだってスムーズではなかったのだから、仮にもう一度やり直したとしても今度はもっと着差が開いたかもしれない”という意見もありました。それもその通りだと思います。だから本当ならダービーの敗戦はもういい加減受け入れなくてはいけないのかもしれません。それでも……それでもなんですよね。僕は未勝利戦や1勝クラスのレースでも、ハナ差で負けたりしたら次の日まで引きずるくらいに悔しがるタイプなんです。それが今回はダービーで、まして10cm差なんですから。5馬身差くらいで負けていたのなら違ったのかもしれませんが、やはりなかなか切り替えられませんよ」

「今まで生きてきた中でダントツに悔しい」

 横山武史は昨年、関東騎手のリーディングを初めて獲得。今年はダービーの時点では2位だったが、夏の函館開催、札幌開催ともにリーディングを獲得し、いつしか今年も関東リーディングのトップに立っている。外から数字を見る限りでは、ダービーの敗戦を乗り越えてさらにひと回りたくましくなった22歳の姿が見てとれる。

「どうなんでしょうね? 自分の中ではそういう実感はないし、何か特別なことをしているわけでもないです。ただ改めて振り返ると、色々な経験を重ねながら年々、メンタルが強くなってきているとは思いますね。小さな頃は親に叱られてはいつも泣いているような子どもでしたが、親元を離れて競馬学校に入った時や、ジョッキーとしてデビューしたタイミングだったりで、タフになったような実感はありました」

 精神的により一層、強くなったのは昨年、関東リーディングを獲得できた経験も大きかったという。

「リーディング争いをしていた12月頃はそれこそ夜も眠れないくらいでしたが、あれを乗り越えられたことで今年はGIレースの前でもプレッシャーを感じるようなことはなくなりました。そういう中で今年のダービーの敗戦は、自分が今まで生きてきた中でダントツに悔しい出来事でした。“負けたことがプラスに……”なんて軽々しくは表現できないですけど、もし勝っていたら自分自身、調子に乗ってしまっていた可能性はあるし、あの着差で負けたことによって今後、よほどのことがない限りメンタルが崩れることはないだろうな……とも思います」

【次ページ】 思い出のレースは父が制した2009年の天皇賞・秋

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