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「そんなチームは勝てませんよ」三浦監督の盟友・野村弘樹が忖度なしに評価するDeNAの今季と最下位脱出への課題
text by
石塚隆Takashi Ishizuka
photograph byKYODO
posted2021/10/29 11:06
本拠地最終戦で、就任1年目は最下位という結果を受けファンに挨拶する三浦大輔監督。来季は先発投手陣の整備と脚を絡めた野球で捲土重来なるか
そんな三浦采配のひとつの象徴となったのが2番打者の選出だろう。ラミレス前監督の時代は2番にネフタリ・ソトなど長打力のある選手を置くことで得点力アップを図ったが、三浦監督は柴田竜拓や伊藤光といったバントなどの小技もでき、また打席で粘ることのできる器用な選手を置いた。
「やっぱり1番打者が出て、バントだけではなくエンドランなどで打者を進める野球がやりたかったのは明白です。上位の球団を見ても1番が出て、脚を使う野球をしていますから必要性を感じたのでしょう。また本人も言っていたようですが、現役時代にピッチャーとして自分が嫌だなと感じていた攻撃をやるのは監督として当然のことだと思います。ただ先ほども言いましたが、それを形にして得点につなげることができなかった。これは2番打者だけの問題ではなく、全体的に言えることです」
また守備面においてはリーグワーストの防御率4.15。野村氏が言うように開幕当初は先発が揃わず、また粘ることができずゲームを壊してしまうことが多かった。だがシーズンが進むにつれ、エース今永昇太の復帰や大貫晋一の好投などもあり、徐々にではあるが安定していった。だが今度は、勝ち試合の最後を締める山崎康晃と三嶋一輝らリリーフ陣が失点を重ねてしまい、試合を取りこぼすことが多くなった。
僅差のゲームを勝ち切るために
野村氏は核心に触れる。
「打線との兼ね合いもそうですが、今年のDeNAは本当に“噛み合わなかった”というのが正直なところです。1点をもぎ取る野球をやりたいのにできず、さらに1点を守り逃げ切る野球が安定的にできなかった」
今季のDeNAは2点差以内の試合で26勝32敗と負け越しており、惜敗が多かった。シーズン中、三浦監督は「あと一本が出なかった」と試合後に繰り返したが、投打の両輪で歯車が噛み合わなければ、当然試合に勝つことはできない。ただ、状況が悪くともチームのバランスを整え、戦術に落とし込んでいくのが監督の役目である。もちろん時としていい采配があったことも事実だが、シーズンを振り返れば、三浦監督はトータルでチーム力を底上げできなかった。その責任は戦力を準備するフロントにもあるといっていい。
普段は三浦監督を「大輔」と呼び、長年親しくしてきた野村氏は、孤独と言われる指揮官をどのように見ていたのだろうか。