振り返れば開幕当初の10連敗後、シーズン終わりまでほぼ勝率5割ペースで戦えたことは評価できるが、10連敗がなくとも勝率5割ではもちろん優勝できない。下位に沈んでいる以上、プラスアルファが必要だ。

「もちろん補強は重要だと思います。あと肝心なのは国内FA権を取得した攻撃の要である宮﨑敏郎の動向ですよね。打率3割、70打点を稼げる打者が抜けることがあっては厳しい。事実、宮﨑に代わる選手は現在いないわけですし、球団がどう考えているかはわかりませんが、食い止めなければいけないと思います」

課題山積の中に見える光明

　不安材料は多いが、そればかりではないと野村氏は言う。

「先ほど言ったように先発ローテーションを組めるピッチャーはいますし、不思議なもので投手陣がしっかりしてくると打線にも変化が出てくるものです。それこそ“嚙み合わせ”ですよね。また打線に目を移せばリードオフマンには桑原がいますし、オースティンも残留濃厚、キャプテンの佐野には安定感があります。なによりも球団記録やリーグ記録を次々と塗り替え大ブレイクしたルーキーの牧の存在感は来季さらに大きくなると思います。いやホント、僕個人としては新人王を上げたいぐらいですよ。そんな牧に刺激を受け楠本泰史や山本祐大ら若手も力を伸ばしてきていますし、また今季後半には一昨年のドラ1の森敬斗が一軍に帯同され、非凡なセンスを見せてくれました。森に関しては、経験を積ませるためもっと起用して欲しかったくらいです」

　今季でDeNA体制となり10周年。若手選手ばかりではなく、野手陣の兄貴分である大和やブルペンを守る三上朋也、田中健二朗など、経験豊富な選手たちも控えている。

　三浦監督にとってこの1年は、塗炭の苦しみを味わう日々であったことは想像に難くないが、来季はこの経験を活かすときだ。そしてフロントはこれまで以上のサポートをしなければいけない。

　最後に野村氏は期待を込め言った。

「すべてが噛み合ったとき、きっと大輔が表現したかった野球ができると思いますよ」