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「そんなチームは勝てませんよ」三浦監督の盟友・野村弘樹が忖度なしに評価するDeNAの今季と最下位脱出への課題
posted2021/10/29 11:06
text by
石塚隆Takashi Ishizuka
photograph by
KYODO
突きつけられた厳しい現実――。
チームにとって久々の生え抜き指揮官である三浦大輔監督を迎えた2021シーズン、近年クライマックス・シリーズ争いをしてきた横浜DeNAベイスターズは6年ぶりに最下位に沈んだ。
「以前からよく言われることですが、まずはコロナ禍により主力外国人選手の来日が遅れたことが大きかったですよね。その間に10連敗もあり出鼻をくじかれてしまった。また開幕ローテーションも実績に乏しいルーキーの入江大生や若手の京山将弥、阪口皓亮を使わざるを得ず駒が揃っていなかった。就任1年目にもかかわらず戦力が整わない状況での戦いは厳しかったと思いますし、連敗してからの巻き返しは容易ではなかったと思います」
今季のDeNAをこう振り返るのは球団OBで野球評論家の野村弘樹氏だ。4学年下の三浦監督とは1998年の日本一を経験した同じ釜の飯を食った仲間であり、また同じピッチャーというばかりでなくコーチと選手という関係においても一時期を過ごしている。
出塁が得点に結びつかない
開幕前、三浦監督は「得点力」をチームのテーマに掲げていたが、今季559点とリーグ2位ながら、トップのヤクルトと50点以上差をつけられてしまった。1番打者の桑原将志をはじめ昨年首位打者の佐野恵太、タイラー・オースティン、宮﨑敏郎、そしてルーキーの牧秀悟と3割打者を多く揃えていながら、効率的な攻撃ができなかったことが窺える。
「どんな野球をするのか注目していましたが、顕著だったのはラミレス前監督の時代と比べ、バントの数が他のチームと同じぐらい(81犠打)に増えたことです。選手を動かす野球。ただ、それ以外の部分で物足りませんでした。走れる選手がいなかったといえばそれまでですが、盗塁はリーグワースト(31盗塁)ですし、エンドランなども含め、効率的にランナーを進めることができない状況。出塁をしても得点ができないわけですから、バント以外のスチールの部分でもう少し考えなければいけませんでしたね」
三浦監督は脚を絡めようと動きは見せてはいたものの、なかなか成功に至らずちぐはぐとしたプレーが目立っていた。
「そう思います。積極的にトライをするのはいいのですが、失敗が重なると当然確率は低くなります。勝敗が関わってくるシビアな状況ですし、いくら積極的にいこうとしても上手くいかなければ指示する側も、される選手側もどんどん自信を失っていってしまう。そういった意味で、どんどん精彩を欠いていったところがありましたね」