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〈箱根駅伝予選会で圧勝〉明治大監督が選手に伝えていた“幻のオーダー”「出雲駅伝に出ていたら上位3番には入っていた」
text by
和田悟志Satoshi Wada
photograph byJMPA
posted2021/10/25 17:50
箱根駅伝予選会、日本人二番手でゴールした明治大学の加藤大誠
チームトップだったのは、山本監督が考える出雲の仮想オーダーに名前のなかった加藤だった。加藤は、2年連続で箱根駅伝でエース区間の2区を担うなど、もともと力のある選手だが、2週間前ぐらいから調子を上げて、この快走を見せた。
「日本人1位集団に7人もいるというのは安心感がありました。このチームで走れて、楽しいなって思いました。本当にチームプレーの賜物なんじゃないかなって思っています」
こんなことを加藤は口にしていた。
集団走という作戦を取らなくても、結果的には終盤に上位集団に7人も加わっていた。チームメイトの奮闘がまた他の仲間の快走を呼ぶ、こんな相乗効果も生まれていたのだろう。
まさかの箱根シード落ち「明大はハーフを走れない」
これまで明大は“20km超の距離で結果を出せない”というレッテルを貼られることが多かった。
それもそのはず。昨年度は箱根よりも距離が短い全日本大学駅伝では3位と結果を残し、トラックでも圧倒的な戦力を誇ったのにもかかわらず、箱根駅伝ではシード落ちしてしまったからだ。
箱根駅伝のエントリーメンバー16人の10000m平均タイムは、明大が20校中最も速かった(28分41秒90)。上位10人の平均タイムでも、優勝した駒大に次ぐ2番目だった。さらに、学生トップランナーの目安とされる10000m28分台の記録を持つ選手のエントリー人数は14人にも上った。これは97回の箱根駅伝の歴史で最も多い人数だ。昨年度の明大は、箱根駅伝史上かつてないほど厚い選手層を誇るチームだったのだ。
今回の予選会も、10000mの平均タイムは参加チーム中ダントツのトップ。もちろん前評判も高かった。だが、10000mとハーフマラソンとは別物であることは、重々思い知らされている。