同じ轍を踏まないために、この夏は普段のジョギングの実施方法を変えて、各自に任せるのではなく、コースや距離をある程度設定して、選手たちに走り込ませるようにした。起伏のある場所を積極的に走るようにし、走る距離も1回につき3～4km増やしたという。

「力通りの走りができるようになってきました。1位通過っていうのは自信になったと思います」（山本）

　その成果を、まずはこの予選会で発揮。トラックのスピードに加えて、ロードでのスタミナも備わっているのを示すことができた。

「予選会で明治はハーフを走れないというイメージを払拭したと思う。悪いイメージをどんどん断ち切って、良いチームにしていこうって思っています」

　加藤がこう語る通り、あのレッテルは、今回の予選会で過去のものにできたのではないか。もちろん本大会で結果を残してこそ、そう断言できるのだと思うが……。

今季の箱根「『5番以内』が1つのターゲットになる」

　今後に控える全日本大学駅伝、箱根駅伝本大会に向けては、まだまだ上積みできる部分もある。

　予選会を欠場した箱根経験者では、膝を痛めていた富田峻平（3年）が回復し、全日本のエントリーには間に合った。金橋佳佑（4年）は坐骨神経痛に苦しんだが、箱根1本に照準を合わせている。

　また、今回の予選会では114位に終わった尾崎ら、1年生には、まだまだ伸びる余地があるだろう。

「箱根本戦は、まずは『シードを獲ろう』という目標ありきですが、選手たちは春から『5番以内』を口に出しているので、そこが1つのターゲットになると思います。本当は『3番以内』とか言いたいところではあるんですが……。昨年度は、僕が『箱根駅伝で優勝したい』と口にして、あまり良くなかったので、あんまり上の目標は言わないようにしています（笑）。

　今は、どの大学も本当に強いので、5番以内を確実に狙える位置にいれば、上位を狙うチャンスも出てくるかなと思っています」

　山本監督はあまり大きなことを口にしようとはしないが、伊勢路でも箱根路でも、紫紺の旋風が吹き荒れる可能性は十分にある。着実にその準備を進めてきたはずだ。