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〈箱根駅伝予選会で圧勝〉明治大監督が選手に伝えていた“幻のオーダー”「出雲駅伝に出ていたら上位3番には入っていた」
text by
和田悟志Satoshi Wada
photograph byJMPA
posted2021/10/25 17:50
箱根駅伝予選会、日本人二番手でゴールした明治大学の加藤大誠
「とにかく箱根でシード権を獲らないと出雲には出られないから、余計に『箱根でシード権を獲りたい』という気持ちになったと思います」(山本)
今年の箱根駅伝で、明大に26秒先着し、シード権圏内の10位に滑り込んだのが東京国際大だった。そして、出雲駅伝の出場権をも獲得した東京国際大は、その舞台で初出場初優勝の快挙を成し遂げた。
もし箱根で10位と11位が逆転していたら――東京国際大の出雲優勝はなかったし、逆に、明大が創部115年目にして初優勝を飾っていた可能性もあった。
26秒は、一人当たりに換算すれば3秒に満たないわずかな差だが、その26秒が分けた明暗はあまりにも大きかった。
「出雲の東京国際の優勝は、ちょっと勇気が出たというか、うちにもチャンスはあるんだなって思いました」(山本)
10月10日の出雲駅伝はスタートラインに立つ資格さえなかったが、その約2週間後の箱根駅伝予選会で、明大はきっちりとその実力を示してみせた。
箱根予選会の「正攻法」をあえて選ばなかった
予選会の選考方法は、各校10人以上最大12人がハーフマラソン(21.0975km)を走り、上位10人の合計タイムを競うというものだが、明大のタイムは10時間33分22秒で、2位通過の中大に4分16秒もの大差を付ける圧勝だった。
レース内容も特筆すべきだろう。
「選手それぞれ、ターゲットタイムを相談して決めていました。周りに同じくらいのペースの集団があったら、その中で自分の走りをする、というプランだったので、特に集団走を行うということはしませんでした」(山本)
この予選会は、12人を数グループずつに分けて走る“集団走”が正攻法とされるが、明大はこれを実施しなかった。
手嶋や鈴木のように、序盤から前の方で積極的にレースを進める選手もいれば、加藤大誠(3年)や児玉のように後方から追い上げた選手もいた。レース展開はそれぞれだったにもかかわらず、9位(日本人2位)の加藤を筆頭に、12位に鈴木、17位に児玉、18位に櫛田、20位に手嶋、25位に橋本、26位に小澤と、チーム内7番手までがレース終盤に日本人トップを狙える位置に付けていた。