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“代表帰り”の冨安健洋がアーセナルレジェンドの敵将ビエラに狙われた?「良い瞬間もあれば悪い瞬間も…」課題は〈偽SB〉か
posted2021/10/21 17:02
text by
田嶋コウスケKosuke Tajima
photograph by
AFLO
「良い瞬間もあったし、悪い瞬間もあった」
10月18日に行われたアーセナル対クリスタルパレス戦後、日本代表DF冨安健洋のパフォーマンスについて、アーセナルのミケル・アルテタ監督はこのように評価した。「彼のプレーには満足している」と試合全体のパフォーマンスを総括しながらも、細切れで見ていくと攻守に輝く場面もあれば、苦戦する場面もあったと振り返っていた。
現地取材した筆者も、アルテタ監督と同じような印象を抱いた。英メディアに厳しい評価を受けた前節ブライトン戦ほどではないが、国内リーグ戦で5試合目の先発出場を果たした冨安にとって、難しい部類に入る一戦になったのは間違いないだろう。
対戦相手のクリスタルパレスは今シーズンからパトリック・ビエラ監督を迎え、新たなサイクルをスタートした。ビエラと言えば、現役時代にアーセナルの主将として2003−04シーズンにリーグ無敗優勝を成し遂げたクラブレジェンドである。今回の試合前に本拠地エミレーツ・スタジアムに相手監督として姿を見せると、アーセナルサポーターから元フランス代表MFを称えるチャントが送られていた。
そのビエラ監督の就任後、クリスタルパレスでは目に見える変化が生まれている。カウンター志向が強かった前任のロイ・ホジソン時代に比べると、ボールポゼッションが39.9%(リーグ18位)から50.1%(同10位)へ大幅に上昇。パス成功率も、76.1%(リーグ17位)から81%(同11位)に上がった。英衛星放送スカイスポーツも「順位は昨シーズンとさほど変わらないが、プレースタイルが変化しており、サポーターに期待感が生まれている。ホジソン前監督はチームに安定感を与えたが、ビエラ監督は躍動感をもたらした」と前向きに評価している。
そんなフランス人指揮官の采配が、試合の流れを決めるポイントになった。
ペペとの鮮やかなワンツーで先制点を演出
アーセナルは、前半8分にピエール・エメリク・オーバメヤンのゴールで先制した。ゴールの起点となった冨安とニコラ・ペペの鮮やかなワンツーは見事だった。
さらに筆者が注目したのはゴール直前のCK。アーセナルはバスケットボールのスクリーンプレーを用い、冨安が相手選手に体を入れてブロックし、DFガブリエウをフリーにしていた。CK自体はガブリエウにボールが合わなかったが、サイドに流れたところから冨安とペペがワンツー突破を図り、ゴールにつなげた。加入から1ヶ月半が経過し、冨安はセットプレーでもチームメートとの相互理解が進んでいるようだ。
問題はここからだった。