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CLで南野拓実はベンチだったけど… 間近で笑うサラー、クロップvsシメオネを撮影したカメラマンが見た「名将の駆け引き」
posted2021/10/23 11:01
text by
中島大介Daisuke Nakashima
photograph by
Daisuke Nakashima
ラ・リーガやヨーロッパサッカーの試合撮影を精力的に行っている現地在住の日本人フォトグラファー中島大介氏。そのオリジナル写真を定期的に掲載している。
今回はUEFAチャンピオンズリーグ、グループステージのビッグマッチ。アトレティコ・マドリーと南野拓実が所属するリバプールの一戦。シメオネとクロップの両名将、そしてサラーやグリーズマン、ジョアン・フェリックスらワールドクラスのプレーをファインダー越しに追ってもらった。
凛々しい表情でアップする南野、笑顔のサラー
10月19日、CLグループステージ3戦目のアトレティコ・マドリー対リバプール戦の撮影に向かいました。2シーズン前には、このカードがラウンド16で組まれ、下馬評を覆してアトレティコが勝ち抜けを決めました。その際も撮影していましたが、激戦だったことを覚えています。また今回は、リバプールに所属する南野の出場にも期待しました。
訪れたのはマドリードにあるワンダ・メトロポリターノ・スタジアム。ただしUEFAの試合では、ネーミングライツでつけられたスタジアム名が認められていないため、開催スタジアム名はメトロポリターノ スタジアムと表記されます。
Rojiblanco(赤と白)を愛称とするアトレティコと、Reds(赤)を愛称にするリバプールの試合を象徴するかのように、夕日に焼かれ赤く染まるスタジアムが綺麗でした。
ラインナップが発表され、南野はサブメンバー。スタジアム最上段に陣取るリバプールファンを見つめつつ「たくさん来ているね」といった感じで、チームメートに笑いかけていました。そしてサラーがこちらのカメラに笑顔を浮かべてくれました……(笑)。
仕事柄、様々なチームのアップ風景も間近で見てきましたが、アップ段階におけるリバプールの集中力は目を見張るものがありました。特にペナルティーエリアの内に限定されたパス交換からのシュート練習は、あまり見たことのないシチュエーションであるとともに、その迫力と正確さがすごかったです。
その中で南野も左足で放ったシュートの軌道を眺めながら、良い感触を持ったままロッカーに戻っていきました。
選手入場直前、ファンのボルテージがマックスに。サラーが最後尾で入場してきました。前日会見の際から、お互いを意識し合っているかのようだったシメオネとクロップが笑顔で握手する姿も。
開始早々、アトレティコのカラスコが相手ペナルティエリア内に侵入するなど、ホームチームがまずは先手を取ろうとしました。序盤からボルテージMAXのシメオネ。声を張り上げます。
しかし、そんなアトレティコの圧を跳ね返すように、試合開始から8分、13分と、サラーとケイタが立て続けにゴールを陥れます。ピッチレベルではこれで一気に勝負がついたかと思いましたが……。そんな状況でもクロップはゲキを飛ばしていました。