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「公式戦で見たいか?」サイ・ヤング賞3回のシャーザーも不満…先発投手は2巡目までの“早めの継投”がプレーオフで急増のワケ

posted2021/10/22 06:00

 
「公式戦で見たいか?」サイ・ヤング賞3回のシャーザーも不満…先発投手は2巡目までの“早めの継投”がプレーオフで急増のワケ<Number Web> photograph by Getty Images

17日のリーグチャンピオンシップシリーズ第2戦に先発するも4回1/3を2失点のシャーザー。3日前にクローザーとして登板しキャリア初セーブを挙げていた

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四竈衛

四竈衛Mamoru Shikama

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 近年、メジャーのポストシーズンでは、短期決戦特有の戦術が多く見られていたが、今季は「早期継投」の傾向がより顕著になってきた。

 一発勝負のワイルドカードゲームで、ヤンキースの剛腕ゲリット・コールが2回3失点で早々と降板したのをはじめ、ドジャースのマックス・シャーザーが5回途中1失点でマウンドを譲るなど、実績のある先発投手でもあっさりと交代させ、ブルペン勝負に持ち込む試合が頻繁に見られるようになった。

 5試合制のディビジョンシリーズでは、レッドソックスが「ダブル先発」ともいえる戦術で、タナー・ホウク、ニック・ピベッタの先発組を救援として起用した。その結果、澤村拓一が出場登録枠から外れたものの、ホウク、ピベッタは複数イニングの投球が可能とあって、大胆な早期継投が可能となった。先発投手が早い回に失点すると、躊躇することなく継投策へ入り、相手の反撃の芽を摘むことを優先。左腕クリス・セールがトミー・ジョン手術明けで長いイニングを期待できず、絶対的なエースが不在でもあり、公式戦とは異なる試合運びで主導権を握り、昨季リーグ覇者のレイズを3勝1敗で撃破した。

短期決戦ならではの継投策

 先発完投が求められていないメジャーでは、過去数年来、特にポストシーズンではこれまで以上に継投策に重点を置く戦法が主流となっている。データ分析の細分化が進み、相手打線との対戦が3巡目になると被打率が上がる傾向からも、接戦になればなるほど、先発投手は5回までがメド。球数を70~80球に抑え、中3日で次回登板に備えるケースも珍しくない。その結果、5試合制では先発投手を3人、7試合制では3~4人で回すことが主流となり、救援適性のある先発投手を配置転換するチームも多い。

 2018年のレッドソックスは、快速右腕ネーサン・イオバルディを救援で起用し、世界一に上り詰めた。ポストシーズンの常連ドジャースが、前田健太(在籍当時)や左腕フリオ・ウリアスを救援陣に加えたのも、継投勝負を想定していたからだった。昨季のルール変更に伴い、救援投手には打者3人との対戦が義務付けられたこともあり、球種が豊富で複数回の投球が可能な先発経験者が、貴重な切り札として起用されるようになった。

【次ページ】 先発投手のあるべき姿とは

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