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箱根駅伝予選会「昨年以上の超高速レースになる」3つの理由…《トップ通過から最後の1枠》10位圏内を予想してみた
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph byJMPA
posted2021/10/22 17:02
10月23日に開催される箱根駅伝予選会。上位10校が来年1月に開催予定の本戦出場権を得る
このタイムは、一昨年の予選会をトップ通過した東京国際大の10時間47分29秒をはるかに凌ぐタイム。この時は暑さの影響で全体のタイムが落ちたが、昨年も風雨の影響を受けている。平坦な周回コースに変更になったとはいえ、それでも14分近くタイムを縮めており、ここが今年のボーダーラインになるだろう。ただ、コンディションが良ければ、予選通過の最低ラインは、10時間33分を切ってくる。そうなるとアベレージで1時間3分18秒、km3分ペースで走らないといけない。これを10人揃えるのはハードルが高く、仮に貯金を作れる選手がいても基本的に1時間3分台内で走る力が選手には求められる。
実際、昨年の専修大を見ると9名が1時間2、3分台でタイムを揃えてきた。ただ、各大学は予選会の超高速化を見越してスピードとスタミナ、その両輪の強化をしてきている。
では、来年の箱根駅伝を駆ける権利を勝ち取る大学は、どこになるのか。
「なぜ予選会にいるんだ?」トップ通過争いは“3校”
トップ通過を争うのは、明治大、中央大、法政大だろう。
明大と中大に関しては、「なぜ予選会にいるんだ?」という声が聞かれるぐらい力が飛び抜けている。
特に明大は、昨年の全日本大学駅伝3位、箱根駅伝は往路序盤のブレーキが原因で11位に終わったが、シード権を取れるオーダーだった。今年は鈴木聖人(4年)、手嶋杏丞(4年)の2本柱が5000m、10000mともに自己ベストを更新するなど好調だ。主力では富田峻平(3年)が外れたが、箱根4区7位の櫛田佳希(3年)が夏以降調子を取り戻し、メンバー入りを果たしている。チームには5000m、13分台が12人いるが、11人が今回のメンバー入りをしており、10000mの上位10人の合計タイムも出場校中トップ。選手層の厚さでは箱根のシード校に負けないレベルだ。山本佑樹監督は予選会でハーフを走って結果を出し、全日本大学駅伝に繋げてシード権を確保する戦略を考えている。予選会の通過順位にはこだわらないようだが、エントリーメンバーが力を発揮すれば、自然とトップ通過が見えてくる。
中大は、主軸の三浦拓朗(4年)とエースの吉居大和(2年)らがチームを牽引している。トラックシーズンは大会を育成の場として位置づけ、戦力の底上げを図った。その結果、全日本大学駅伝の予選会では5位通過を果たすなど、中間層が充実。9年ぶりに伊勢路を走ることとなり、駅伝のサイクルも強豪時代に戻りつつある。主力の千守倫央(3年)を欠き、吉居も完全に復調しているわけではないが、トップ通過の有力候補であるのは間違いない。
法政大は10000mの上位10名の合計タイムは出場校中7位だが、近々のレース結果を見ると全体の調子が上がっているのが見て取れる。9月の日体大記録会10000mでは内田隼太(3年)の28分台好走を筆頭に3年生が強く、ルーキーの小泉樹も自己ベストを更新するなど全体に勢いが出てきた。全日本大学駅伝予選会ではエース鎌田航生(4年)が日本人5位で引っ張って3位で突破した。箱根予選会もその順位内での通過は十分に可能だ。