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中田翔の獲得? 坂本勇人の交代? 意見飛び交う「巨人が9月以降に大失速」の原因だが…本当に痛かったチーム編成の“欠陥”とは
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byJIJI PRESS
posted2021/10/16 11:04
今季、32試合連続無失点記録を樹立したビエイラだが、9月以降は打ち込まれることが多くなった
その後はクローザーを固定できずに中川、畠世周投手、デラロサらで9回を凌ぐことになるが、絶対的なクローザーがいなくなったことで逆算したゲームプランがなかなか組めず、終盤の投手リレーが苦しくなっていった訳である。
チームワースト13連敗のときと同じ現象が……
そうして終盤の組み立てが難しくなる中で、もう一つ、決定的な問題として浮上してきたのが売り物だったはずの打線の不振だ。
今回の大失速の直接的な原因は、まさに点が取れない、その一点に尽きるといっても過言ではない。
失速の始まった9月以降は37試合(10月14日時点)を消化して、総得点は105点で1試合平均は2.84得点。これでは巨人が描いてきた序盤から中盤までに5、6点を取って試合の主導権を握り、それをリリーフ陣で逃げ切るというゲームプランは根本的に崩壊している。
実は同じような現象は過去にもあった。
2006年には開幕からスタートダッシュに成功しながら、6月から7月にかけて打線が大スランプに陥り8連敗、10連敗に9連敗と大型連敗を繰り返して6、7月は12勝33敗。8月には最下位に転落している。
また記憶にも新しいのが高橋由伸監督時代の17年の5月から6月にかけてチームワーストの13連敗を記録した時だ。
実はこの2つの連敗も極度の打撃不振が理由だった。06年は高橋由伸外野手、小久保裕紀内野手、阿部慎之助捕手らが次々と故障で離脱。17年も阿部に加えて坂本勇人内野手もコンディション不良を抱えながら試合出場を続けてきたことで、スランプとなり、それをカバーできる若手の台頭がなかった。
外国人打者がほとんど機能していない
今回も坂本に加えて岡本和真内野手、丸佳浩外野手と連覇を支えてきた主力打者が揃ってスランプとなり、それがモロにチームの勝敗に影響を及ぼしている。
そして過去の大失速同様に、そうした主力の不振をカバーできる若手や他の選手がいない。いまの巨人打線で気を吐いているのは松原聖弥外野手ぐらいというのが実情なのである。
そこで1つ、指摘できるのはチーム編成として外国人打者がほとんど機能していないことが、この大失速の理由としてあることだ。