プロ野球亭日乗BACK NUMBER
中田翔の獲得? 坂本勇人の交代? 意見飛び交う「巨人が9月以降に大失速」の原因だが…本当に痛かったチーム編成の“欠陥”とは
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byJIJI PRESS
posted2021/10/16 11:04
今季、32試合連続無失点記録を樹立したビエイラだが、9月以降は打ち込まれることが多くなった
今や日本のプロ野球は外国人選手の成功がチームの浮沈を握っている。ヤクルトにしてもホセ・オスナ内野手とドミンゴ・サンタナ外野手の存在があるから、あの圧倒的な強力打線が形成できている。阪神も打線に課題があったが、今季はジェフリー・マルテ内野手が打線の軸を担ってジェリー・サンズ、メル・ロハス・ジュニア両外野手を併用しながら打線を強化できたことが強さの要因なのは紛れもない事実だ。
孤軍奮闘のウィーラーのバットにも陰りが
しかし今季も巨人は外国人選手の補強に失敗している。打線の軸として獲得したエリック・テームズ外野手はケガで離脱、ジャスティン・スモーク内野手もコロナ禍の家族問題で途中帰国と機能しなかった。8月にはスコット・ハイネマン外野手を緊急獲得したが、これもまたほとんど結果を残せないままにチームを外れて帰国してしまった。
結果的にはゼラス・ウィーラー内野手が孤軍奮闘。前半戦ではこのウィーラーが結果を残したことで、丸の不振を補填し、打線は点を取れた。しかしそのウィーラーのバットにも陰りが出ている現状では、主力の不振をカバーできる選手がいないのだ。
そこに現状の苦しさがある。
「外国人選手の差が大きかった」
2年連続日本シリーズでソフトバンクにスイープされた直後の昨オフ、原監督が敗因の一つとしてあげたのが、外国人選手の補強の失敗だった。巨人にとってはもうずっと懸案事項だが、今年もまた不運もあったとはいえ、成果を得られなかったことが、シーズン終盤に大きなツケとして出てしまったことになる。
もちろんそれが大失速の理由の全てではない。ただ、明らかにチーム編成上の欠陥が、この事態を招いた遠因にあることは間違いない。
そしてこれはいまだけの問題ではないのだ。
今後のチーム編成で外国人選手の補強をしっかりできない限り、本当に強い、逆境でもそれを跳ね返せるチームを作ることはできないだろう。
まだシーズンは終わったわけではない。チームを建て直し、クライマックシリーズを勝ち上がれば、日本一の可能性も残されている。
ただ、この大失速でチームとして、改めて大きな課題が浮き彫りになったはずである。
記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。