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「ONE TEAM」が流行語大賞から2年…ラグビーは“国民的スポーツ”に近づいたのか?〈新リーグもついに発表〉 

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戸塚啓

戸塚啓Kei Totsuka

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posted2021/10/22 06:01

「ONE TEAM」が流行語大賞から2年…ラグビーは“国民的スポーツ”に近づいたのか?〈新リーグもついに発表〉<Number Web> photograph by Getty Images

日本がラグビーに沸いた2019年のW杯から3年。ラグビー人気の今をレポートする

 サッカー日本代表の人気に後押しされてスタートしたJリーグは、1993年の開幕から29年目のシーズンを迎え、日本代表の成績に極端な影響を受けなくなってきた。代表選手の多くが国外のクラブでプレーしており、Jリーグと日本代表に直接的な結びつきが見つけにくいということもあるが、それぞれのチームにしっかりとファン・サポーターがついている。

 ひるがえってラグビーは、ほぼすべての日本代表選手が国内でプレーしており、代表とリーグ戦のつながりが深い。つまりは代表に影響されやすいのだが、リーグワンは代表が結果を残せなくても安定して盛り上がる未来を描くべきである。

“私たちのチーム”という意識を作り上げる

 ポイントはファンとの「距離」にある。

 社会人スポーツとして成り立ってきたラグビーは、企業の福利厚生や社員の一体感醸成の役割を担ってきた。試合会場には企業のテントが張られ、社員や関係者はチケットと応援グッズを受け取って座席へ向かう、という光景が見られた。

 リーグワンは「ファンが熱狂する非日常空間の創造」、「ラグビーを通じた社会価値向上と人財育成」、「地元の結束、一体感の醸成」といったビジョンを掲げる。運営、営業、広報の視点は、親会社だけでなく一般のファンへ向けられる。各チームは「プロフェッショナル視点での経営」を目ざしていく。

 プロフェッショナル視点が何を指すのかは、競技やチームによって変わってくるはずだ。地域性も関わってくるだろう。

 そのうえで言えば、リーグワンの周りから「僕たちの」や「僕たちと」といったフレーズが聞こえてくるのが理想だ。「僕たちの、私たちのチーム」といった帰属意識や、「僕たちと、私たちとともにある」といった当事者意識を作りあげていければ、そのチームは地域に欠かせない財産となっていく。

ラグビーが人々にとって“欠かせないもの”になるために

 リーグワンの戦いは世界へつながっているだけに、勝敗はもちろん大事である。ただ、試合の結果に影響されない価値を生み出すことで、ラグビーが人々にとって欠かせないものとなる。W杯で好成績を残せなかったとしても、人気が下がるということはなくなる。

 スタジアムを訪れるファンに、自分たちのチームという意識を抱いてもらう。そのために何ができるのか、何をすべきかを、それぞれのチームは具体化していってほしいのだ。

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