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「ONE TEAM」が流行語大賞から2年…ラグビーは“国民的スポーツ”に近づいたのか?〈新リーグもついに発表〉
posted2021/10/22 06:01
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph by
Getty Images
あのラグビーW杯以来となる国内でのテストマッチが、いよいよ10月23日に迫ってきた。ジェイミー・ジョセフHC(ヘッドコーチ)率いる日本代表が、オーストラリア代表を迎え撃つのだ。アイルランドやスコットランドと対戦する11月のヨーロッパ遠征を前に、世界ランキング3位のワラビーズと激突する。
23年のW杯へ向けて日本代表が強化を進めていくのと並行して、代表チームの土台となる国内リーグも変革の時期を迎えている。ラグビー新リーグ『リーグワン』の大会日程と大会フォーマットなどが、10月4日に発表されたのだ。
しかし、既存のトップリーグを発展的に解消して発足するリーグワンの開幕がいよいよ近づいてきた──との機運は、残念ながら高まっていない。
開幕は3カ月後、来年の1月なのである。
新リーグ開幕を発表も「なぜこのタイミング?」
早めの告知が悪いと言うつもりはないが、開幕まで3カ月での発表は適切だったのだろうか。「なぜこのタイミング?」というのが一般的な肌感覚だ。1月7日の開幕カードのチケット発売は、日程発表から1カ月以上先の11月11日である。
ラグビーに興味を持ってくれている人に対しては、ニュース発信のタイミングは大きな問題でないだろう。ラグビー関連の情報を、日頃からチェックしているはずだからだ。
しかし、リーグワンは競技力向上を目ざすとともに、ラグビーの普及や振興を後押しするためのものでもあるはずだ。ライト層にも絶えず情報が届く工夫を凝らすべきで、そこではタイミングの見定めも大切になってくる。
結果的に、リーグワンのニュースは拡散が限定的だった。10月4日は大谷翔平のシーズン最終戦が行われ、日本のプロ野球では第1次戦力外通告期間がスタートした。また、サッカー日本代表がカタールW杯アジア最終予選へ向けて、サウジアラビアでトレーニングをスタートさせた。さらに言えば、岸田内閣が発足して新たに発足した日でもあった。リーグワンの日程発表を押し出すようなニュースが、多方面から発信されたのである。
歓喜のラグビーW杯から2年
そもそもラグビー界は、タイミングに恵まれない印象がある。
19年のラグビーW杯で日本代表がベスト8まで勝ち上がり、「ONE TEAM」が流行語大賞に選ばれた。「にわかファン」なる言葉も定着した。20年1月開幕のトップリーグ2020は、開幕節8試合のうち5試合で1万人以上の観客を動員した。
翌2節のトヨタ対パナソニック戦では、過去最高となる3万7050人の観客を動員した。第3節の神戸製鋼対サントリー戦でも、歴代4位となる2万6312人が集まった。ラグビーW杯の熱狂がトップリーグに持ち込まれていたのだが──。