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MLBワールドシリーズの視聴者数が“激減”している…昨年は“過去最低”の978万世帯、人気チームでも視聴率が伸びない原因
posted2021/10/03 17:01
text by
ナガオ勝司Katsushi Nagao
photograph by
Getty Images
このコラムが更新される頃には結果が出ているかも知れないが、アメリカン・リーグ(AL)のワイルドカード争いは、1位ヤンキース、2位レッドソックス、3位ブルージェイズの東地区3チームに加えて、4位マリナーズの4チームの争いになった。
我々、日本のメディアにとっては、レッドソックスとマリナーズがワイルドカードを獲得し、2人の日本人選手=レッドソックスの澤村拓一とマリナーズの菊池雄星両投手を同時に取材できる状況になるのが「ベスト・シナリオ」だった。
日本で知名度のあるレッドソックスとマリナーズだが…
レッドソックスは元々、松井秀喜外野手が所属した「王者ヤンキースのライバル球団」として日本でも知名度があったし、それ以前から野茂英雄、大家友和両投手が「イチロー・デビュー年」の2001年、開幕ロースターに名を並べていたことで知られていた。
その後も2007年に松坂大輔と岡島秀樹両投手、2013年には上原浩治と田澤純一両投手らが所属し、ワールドシリーズ優勝など活躍したお陰で人気は高まり、そこに「ペドロ(・マルティネス投手)やノマー(・ガルシアパーラ遊撃手)の時代から好きだった」という筋金入りのファンを加えれば、かなり日本人ファンの多いチームだと言える(中にはテッド・ウイリアムスやカール・ヤストレムスキーの時代から好きだったという人もいるだろうけれど)。
一方のマリナーズは前出の「イチロー・デビュー年」以来、プレーオフ進出すらしていないが、それ以前から「大魔神」こと佐々木主浩投手、その後も長谷川滋利投手や岩隈久志投手、現独立BCリーグ栃木ゴールデンブレーブスの川崎宗則内野手や、現東京ヤクルトの青木宣親外野手らがプレーしたことで、日本では固定人気のあるチームだ。こちらも「ケン・グリフィー・Jr.やランディー・ジョンソンの時代から好きだった」というコアな日本人ファンの方々を加えれば、相当な数になると思う。
そういった「日本的な事情」は毎年、500億円を超える巨額の放映権料を支払っている米国のテレビ中継局には関係がない。彼らにとっては全米人気があるヤンキースやレッドソックスがワイルドカードを獲得し、ワールドシリーズまで勝ち上がってくれるのが「ベスト・シナリオ」になる。