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MLBワールドシリーズの視聴者数が“激減”している…昨年は“過去最低”の978万世帯、人気チームでも視聴率が伸びない原因
text by
ナガオ勝司Katsushi Nagao
photograph byGetty Images
posted2021/10/03 17:01
2007年のワールドシリーズで優勝したレッドソックス。松坂大輔と岡島秀樹が在籍していた
ワールドシリーズの視聴者数“最低”記録は?
たとえばMLBの頂上決戦、ワールドシリーズの視聴者数。英語版ウィキペディア(https://en.wikipedia.org/wiki/World_Series_television_ratings)によると、新型コロナウイルスの影響で不規則なプレーオフ形式が採用され、1試合平均978万5000世帯と史上最低記録を更新してしまった昨季を別にすれば、2000年以降の視聴者数で最低だったのは2012年、AL王者デトロイト・タイガース対ナショナル・リーグ(NL)王者サンフランシスコ・ジャイアンツのワールドシリーズの1263万6000世帯だった。
当時のジャイアンツには、同年の首位打者で後にリーグМVPに選出されるバスター・ポージー捕手や、「カンフーパンダ」の愛称で知られるパブロ・サンドバル内野手ら人気者がいたし、全盛期は過ぎていたかも知れないが、元サイ・ヤング賞投手のティム・リンスカムや左腕バリー・ジート投手らもいた(元阪神のライアン・ボーグルソンもいた!)。
一方のタイガースには、同年の三冠王で、やはり後にリーグMVPに選出されるミゲール・カブレラ内野手や、父セシルが阪神でプレーしたことで日本でも知名度のあるプリンス・フィルダー一塁手らがいた。ジャスティン・バーランダー(現アストロズ)、マックス・シャーザー(現ドジャース)、リック・ポーセロ(現メッツ)のサイ・ヤング賞受賞トリオもいたのだが、「素晴らしい選手たちの素晴らしいプレーが見たい」と思うのは少数派であり、結果は前述の通りだった。
同年のジャイアンツの観客動員数は、30球団中4位の337万7371人(1試合平均4万1696人)で、タイガースも同9位の302万8033人(同3万7383人)だから、地元での人気はとても高いのに、全米での人気は今ひとつだったわけだ。
全米規模で視聴者数が多い対戦は?
全米規模で視聴者数が上がるのは、ヤンキースやレッドソックス、カブスやドジャースといった「全米クラス」で人気のある球団が出場したシリーズで、そこには伝統球団のジャイアンツやタイガースは含まれていないらしい。
たとえば2000年から2019年までの視聴者数トップ3は、レッドソックスとカージナルスが対戦した2004年の2539万世帯、ヤンキースとダイヤモンドバックスが対戦した2001年の2452万8000世帯、そして、カブスとインディアンスが対戦した2016年の2284万7000世帯だった。
MLBファンにとっては説明不要だろうが、念のために書いておくと、2004年はレッドソックスが86年ぶりのMLB王者になったシリーズで、2001年は同時多発テロの被災地ニューヨークのヤンキースが出場したシリーズだった。そして、2016年はカブスが108年ぶりのMLB王者となったシリーズである(カージナルスやダイヤモンドバックス、インディアンスは、あくまでも人気球団の対戦相手に過ぎない)。