甲子園の風BACK NUMBER
「いいキャプテンがいる時は結果が出る」ドラフト候補・前川右京ではなく、主将・山下陽輔が智弁学園の「4番」に座り続けた理由
text by
沢井史Fumi Sawai
photograph byHideki Sugiyama
posted2021/09/29 17:06
今世代で最も多くの公式戦を勝ち抜いてきた智弁学園。そのチームをけん引したのが主将・山下陽輔だった
高校からプロへ進むことを目標とし、陰で努力してきた前川の存在も、山下にとっては大きな刺激となった。副将として傍でサポートしてくれたことが何よりの強みになり、「甲子園で勝ち進んでも、本来なら3年生は“楽しくやろう”と気が緩みがちになるのに、そんな雰囲気になることはなく戦い切れた」と指揮官。今世代で最も公式戦を勝ち抜いたことも頷ける。
チームとしては小坂監督が主将時の最高成績の95年夏のベスト4を超え、日本一を目指したが、準優勝で終わった高校野球。だが、山下の残した足跡は確かなものだった。
「勝ちを重ねていくと、人間なので油断も出てきます。3回戦以降は厳しい試合が多かったけれど、もっと勝ち進むにはこうしないといけないとか色んな心得も学びました」
卒業後は大学に進学し、4年後のプロ入りを目指す。1年以上務めたキャプテンというポジションは「責任感が強くなったことと、周りを見る力がつきました」。
充実感を漂わせ、高校野球に終止符を打った。来春からはハイレベルな世界でさらに自分を磨いていく。自分が目指す世界に一足早く挑戦する前川の背中を追いかけながら、山下は今後も世代の先頭を走り続ける。
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