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Vリーグ優勝監督が“増える海外移籍”を語る「(国内でも)外国人選手だけを集めたチームを作ったら面白いのにな」
posted2021/09/11 11:01
text by
米虫紀子Noriko Yonemushi
photograph by
Noriko Yonemushi
「見ていてワクワクしましたね」
北京五輪代表のミドルブロッカーで、現在はVリーグ・サントリーサンバーズの監督を務める山村宏太は、東京五輪男子バレーボール日本代表の戦いを讃えた。
「相手がどんな強豪国であっても、何かやってくれるんじゃないかなと期待できるようなバレーボールを展開してくれていました」
山村は2018年8月からの1年間、JOCのスポーツ指導者海外研修員としてイタリアで研修を行い、ちょうどその年9月に同国で開催された世界選手権を視察していた。
「その時も基盤はできていたと思うんですけど、そこに、高橋藍君が加入したことがすごく大きかったんじゃないでしょうか。コート内にリベロが2人いるようだった。ディフェンスで、相手がイライラするほどのものを作り上げられたのが大きかったと思いますし、サーブレシーブも、海外の強いサーブに対して、山本(智大)君、石川(祐希)君、高橋君の3人で大崩れすることなく戦いきれた。
今回の日本のバレーはかなりクオリティが高かったと思いますし、みんな、やることが明確にわかっているというのが伝わってきました」
日本は予選ラウンドを3勝2敗と勝ち越してグループ3位で突破し、29年ぶりにベスト8に進出した。
ただ、準々決勝で敗れたブラジルや、予選ラウンドで対戦したポーランド、イタリアという世界トップを争う強豪からは勝利は挙げられなかった。簡単なことではないが、3年後のパリ五輪やさらにその先、日本がそうした強豪とも渡り合い、メダル争いに食い込むためには何が必要なのか。山村にそう尋ねると、昨季のVリーグ優勝監督は、「あくまで僕の個人的な意見ですけど」と前置きしてこう語った。
「どんどん海外へ行くべき」
「石川君や、今回の(海外移籍を発表した)関田(誠大)君や西田(有志)君みたいに、どんどん海外に行くべきだと思います。その上で代表でも積極的に海外に遠征して対外試合を重ねるのが、差を埋めていくには一番の道なのかなと。そうなると国内の人気選手がいなくなってしまうので、もちろん僕らは国内を盛り上げる方法を考えなければいけないし、次の、彼らのポジションを奪えるような選手をどんどんVリーグから輩出していかないといけないんですけどね。
国内にいるとどうしても……もちろんVリーグも、世界トップレベルの外国人選手が来てレベルが高くなっていますけど、各チーム1人だけでは、そういう選手ばかりが集まっている海外リーグの高さ、パワー、スピードというのは体験できないと思うので。
女子のいいところは、男子の選手を呼んで練習すれば、ある程度海外の選手のパワーや高さを表現できること。でも男子はそれができないので、海外に出て、生でそういう相手と対戦し、もまれ続けることが一番なんじゃないでしょうか。あるいは、例えばVリーグの中に1チーム、外国人選手だけを集めたチームを作って参加させたら面白いのになと思います。まあそれは難しいでしょうけど」
山村は、「僕は言いたいことを言っちゃうからダメなんですけど」と苦笑しながら、こう続けた。