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Vリーグ優勝監督が“増える海外移籍”を語る「(国内でも)外国人選手だけを集めたチームを作ったら面白いのにな」
text by
米虫紀子Noriko Yonemushi
photograph byNoriko Yonemushi
posted2021/09/11 11:01
昨季、サントリーを優勝に導いた山村宏太監督。ミドルブロッカーの育成まで、忌憚のない意見を語ってくれた
「選手は海外に出て、違う国、違う環境、違うレベルでプレーし、いろんなプロの監督の考えに触れることで、多くの刺激を受けられると思うので、そういう経験を積ませてあげるべきだと思います。僕自身、今、日本で監督をやっていますけど、『これをやったら勝てるよ』という強い信念というか、ポリシーみたいなものはまだ作れていません。実業団チームの監督として、このチームが強くなるような方法しか取っていないんです。だから(海外に行く)彼らのようなプロ選手たちにいい刺激を与えられる自信がないので、そういう強い刺激が欲しいのであれば、どんどん海外に行くべきだと思う。
彼らに刺激を与えられる監督が今日本にどれだけいるかと考えたら、残念ながら、世界のバレーに通じていて、自分の哲学をいい意味で人に押し付けることができる、そういうタイプの指導者は多くないと思うので、海外に行って、そういうものを感じればいい。そういう意味では、外国人監督が日本に来てくれるのはいいことだと思います」
例えば、山村が現役時代にサントリーの監督を務めたパオロ・モンタニャーニや、JTサンダーズ広島を率いたヴェセリン・ヴコヴィッチ、豊田合成トレフェルサ(現・ウルフドッグス名古屋)のアンディッシュ・クリスティアンソン、昨季からパナソニックパンサーズの監督を務め、今夏の東京五輪でフランス代表を金メダルに導いたロラン・ティリといった監督は、自身のバレー哲学を確立させており、どんなチームに行ってもその哲学にはめ込んでいく。
JTや豊田合成が彼らのもとで初優勝を果たすなど、チームは目に見えて変わった。海外リーグで様々な指導者の考えに触れることも大きな経験になる。
ミドルブロッカーの海外移籍は難しい?
ただ山村は、「ミドルブロッカーは難しい。海外(リーグ)に出ていくのが一番難しいのがミドル」だと言う。
日本のミドルも2m前後の選手が増えたとはいえ、「海外ではそれがノーマルですし、日本のミドルが海外でどれぐらい評価されているかというと……厳しいんじゃないでしょうか」。
東京五輪では、石川、西田らサイド陣が高い得点力を発揮した一方で、トップレベルの相手と対峙した時に力の差が浮き彫りになったのがミドルブロッカーだった。
山村は、「ミドルは決定力自体はあったと思いますが、信頼度というか、使用頻度が少なかったですね。でも日本にはパイプがあった。セッターの関田君はそこの使い方がめちゃくちゃうまい。それが今回の日本の躍進の一因だと思う」と言う。
そこに加えてミドルブロッカーが存在感を増せば、世界のトップレベルにも近づいていける。だからミドルブロッカーも海外で腕を磨いて……と簡単には行かないのが現実のようだ。