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Vリーグ優勝監督が“増える海外移籍”を語る「(国内でも)外国人選手だけを集めたチームを作ったら面白いのにな」
text by
米虫紀子Noriko Yonemushi
photograph byNoriko Yonemushi
posted2021/09/11 11:01
昨季、サントリーを優勝に導いた山村宏太監督。ミドルブロッカーの育成まで、忌憚のない意見を語ってくれた
課題であるミドルブロッカーの育成については、こう持論を語った。
「あくまで僕の考えですけど、小学校中学校から早くにポジションを決めてしまうのは、リスクがあると思うんです。高身長な子は、最初からミドルだけをやらされがち。大きい子は不器用な子が多いから。だって人より手足が長くて使うのが難しいんですもん。だから始めたばかりの頃は鈍臭く見えてしまうこともある。小さい子の方が、スピードがあって上手だから、試合で使ってもらえるし、いろんなことをやらせてもらえる。そうしたら、大きい子は楽しくないですよ。
でも中学3年間、高校3年間で結果を出さなきゃいけないとなると、先生たちも勝てるメンバーで試合をするしかない。そうすると大きい子たちがどんどんバレーボールから離れてしまう。だから、若い頃はポジション制を取り除いて、みんなが同じような練習をして、いろんなポジションを経験して、同じようにスキルを上げていく。そういうふうに日本のバレーボールの教育が変わらないと、解決はできないんじゃないかと思っています。海外の選手を見ると、何でもできる選手が多い。ミドルの選手がトスを上げに行って、相手ブロックを器用に振ったりする。小野寺(太志)君はそういう部分やレシーブも上手ですけどね。
絶対に何でもできるようにしておいた方がいい。大きな子も若い時にいろいろなポジションを経験することで上手になるし、逆に小柄でも、急に身長が伸びる子もいるかもしれない。ミドルの子はミドルしかやったことがありません、セッターしかできません、リベロしかできません、というのはナンセンス。みんな打てて、みんなセットできて、みんなジャンプサーブを打てていい。そう思うんですよね」
山村は、Vリーグチームの監督という立場を超えて、率直な意見を聞かせてくれた。
男子バレーは東京五輪で29年ぶりのベスト8という結果を残し、何よりプレーで魅了した。1人1人が懸命に自分の役割を果たし、勝負所での一挙手一投足や、フェイクセットなどのトリッキーなプレーでも見るものを惹きつけた。
日本代表は9月12日に千葉で開幕するアジア選手権で、早速パリ五輪へのスタートを切るが、この上昇気流を一過性のものにしないために、バレー界としてできることはまだまだある。
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