サムライブルーの原材料BACK NUMBER

「僕はどのポジションでも」マリノス岩田智輝24歳、“生粋のポリバレント”が大化けしそうなワケ<逆転優勝のキーマン>

posted2021/09/11 11:02

 
「僕はどのポジションでも」マリノス岩田智輝24歳、“生粋のポリバレント”が大化けしそうなワケ<逆転優勝のキーマン><Number Web> photograph by Y.F.M

古巣・大分トリニータ戦での岩田(24番)。首位・川崎フロンターレを追い上げる原動力となっている

text by

二宮寿朗

二宮寿朗Toshio Ninomiya

PROFILE

photograph by

Y.F.M

「ポリバレント」はイビチャ・オシムが日本で浸透させたサッカー用語である。

 初めて耳にした際、言葉からはまったくイメージが湧かなかったために入れ歯洗浄剤の「ポリデント」を頭に浮かべてしまったものだ。

 誰かが化学用語だと教えてくれた。

「Poly(複数の)Valence(価数、原子価)」「Polyvalent(多価の)」

 価数って、なんじゃらほい。でも高校の「化学」で学んだことを何となく覚えていた。酸や塩基の化学式で出てきたアレね、と。原子やイオンの化学結合みたいなことをサッカーの世界で示しているのだろうか。

 複数のポジションをこなせるだけでは十分じゃない。周りをつなげて一体とし、変化を生み出すまでが「ポリバレント」なる呼び名のフットボーラーの役割。勝手ながらそう解釈させてもらった。

「どこで使うかは相手次第でもあり、我々次第でもある」

 そしてオシムと同じく旧ユーゴスラビア出身のヴァイッド・ハリルホジッチはこう教えてくれた。インタビューした際、ボランチでも起用していた原口元気について語ったときのこと。

「彼は貴重なポリバレントだ。どこで使うかは相手次第でもあり、我々次第でもある」

 私の辞書に、もう一つ解釈が加わった瞬間だった。戦略的に極めて重要なキーマンなのだ、と。ポリバレンス+タレントの造語=ポリバレントと解釈を飛躍させてもいい。

 久しぶりに「ポリバレント」というワードに引っ張られたのには理由がある。Jリーグで、その人のプレーに目を奪われたからだ。

 横浜F・マリノスの24歳、岩田智輝。首位を独走していた川崎フロンターレを猛追する原動力になっている一人だ。

【次ページ】 サイドバックもボランチもセンターバックも

1 2 3 4 NEXT
岩田智輝
横浜F・マリノス

Jリーグの前後の記事

ページトップ