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「僕はどのポジションでも」マリノス岩田智輝24歳、“生粋のポリバレント”が大化けしそうなワケ<逆転優勝のキーマン>
text by
二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph byY.F.M
posted2021/09/11 11:02
古巣・大分トリニータ戦での岩田(24番)。首位・川崎フロンターレを追い上げる原動力となっている
小学生のころ、GK以外はどのポジションもやった
生粋のポリバレントと言えるのかもしれない。小学生のころ、GK以外はどのポジションもやった。いろんなポジションをやることは嫌ではなかった。攻撃も守備も、どちらも好きだったからだ。センターバックでもチャンスとみるや積極的に攻撃参加し、フォワードでもしつこい守備が代名詞だった。大分トリニータの育成組織でも、センターバック、フォワード、ボランチと、チームから求められるポジションでプレーしてきた。
「このポジションでやりたいというのがなかった」と彼は言った。そして「チームの力になれるところでやれればいい」とも。
岩田の姿勢は、プロになってもずっと同じなのかもしれない。
F・マリノスは複数のポジションや役割をこなせる選手が多い。この環境ゆえにポリバレント力をさらに伸ばすことができているとも言える。
8月28日のホーム、鹿島アントラーズ戦では14試合ぶりに黒星を喫した。左サイドからの相手のクロスが自分の頭上をギリギリで越えて、ヘディングで合わせられて先制点を許しただけに悔しさも残った。
国際Aマッチデー期間のため中断していたJ1は今週末に再開する。今季の優勝争いは2強に絞られたと言っていいだろう。フロンターレに勝ち点4差のF・マリノスは11日にアウェーでサンフレッチェ広島と対戦する。
“大化け”の予感が漂っている
岩田は言葉にこう力を込める。
「(優勝のためには)一人ひとりがどれだけチームに貢献できるかだと思うんです。トレーニングの一つのセッションから、それをみんなで高めあっていければ。僕は出られるならどのポジションだっていい。鹿島には負けて悔しい思いをしましたけど、もう1回勝ち続けていけるようにしたい」
パスを含めて個の課題はあるものの、伸びしろも多い。
化学からやってきた用語がサッカーにマッチする意味。
チームにケミストリーを起こすトリコロールのポリバレントには戦略的なキーマンとなるべく“大化け”の予感が漂っている。