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「僕はどのポジションでも」マリノス岩田智輝24歳、“生粋のポリバレント”が大化けしそうなワケ<逆転優勝のキーマン>
text by
二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph byY.F.M
posted2021/09/11 11:02
古巣・大分トリニータ戦での岩田(24番)。首位・川崎フロンターレを追い上げる原動力となっている
今シーズン、大分トリニータから完全移籍。開幕時は右サイドバックで出場したものの、中に入ってゲームメイクも担う独特な役割に戸惑いも当初はあった。
だが徐々にチームのスタイルに慣れ、次に任されたポジションがこれまであまりプレーしたことのないボランチ。相手の攻撃の芽をつぶし切ってしまう力強さと迫力、運動量も非常に多くダイナモぶりを発揮するようになる。今季、Jリーグ1試合走行距離トップとなる13.68km(5月26日、アウェー大分戦)をマーク。3列目から上がって、シュートも狙っていく。新境地を開いた格好だ。
サイドバックもボランチもセンターバックもできる
このボランチこそハマリ役と思えたが、8月21日のベガルタ仙台戦からは大分時代でもこなしてきたセンターバックに。冷静なカバーリングやラインコントロールは「動のボランチ」とはまたイメージを変えている。
6月に話を聞いた際、彼はこう語っていた。
「サイドバックもボランチもセンターバックもできるけど、飛び抜けた良さがない。(課題としては)そのポジションごとに自分の良さを出していかなきゃとは考えています」
有言実行――。
ポジションが変われば、対人の強さをベースに置いて「自分の良さ」のカラーも変えていく。まさにカメレオンのように。ボランチの「動」とセンターバックの「静」はまさに好例である。今サイドバックに戻れば、きっとうまく馴染むに違いない。チームへの同化力、プレーの変化力。それこそが実は岩田の「飛び抜けた良さ」なのかもしれない。
2カ月ぶりにリモートで少し話を聞く機会があった。
ポジションごとに何を意識しているかをあらためて尋ねてみた。