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〈銀メダル車いすバスケのスピードスター〉鳥海連志22歳が『ローポインターはサポート役』を覆せた理由「でかい壁があれば、よし、と思う」 

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松原孝臣

松原孝臣Takaomi Matsubara

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posted2021/09/07 11:05

〈銀メダル車いすバスケのスピードスター〉鳥海連志22歳が『ローポインターはサポート役』を覆せた理由「でかい壁があれば、よし、と思う」<Number Web> photograph by Getty Images

東京パラリンピック決勝のアメリカ戦にて、相手をかわしてシュートを放つ鳥海連志

「上手な選手を見ると、あれくらい上手くなりたい、上回れるようになりたいと思うんです。単純に、上手い選手とやれるのは楽しみじゃないですか。対戦する中でやられたり、やりかえしたり」

 そんな思いを原動力とし、思うだけでなく練習に励んだ。

「でかい壁があれば、よし、と思うんですよ」

「この5年間が報われました」

 失意に沈んだこともある。精一杯の努力を重ねて臨み、9位に終わったリオだ。ここまでやってきて、これしか成績が残せないのかと思い、やめようとすら思った。それでも気持ちを取り戻し、故郷の長崎を離れ上京。よりバスケットボールへ向かう生活を過ごした。その時間の重さは、準決勝のイギリス戦に勝利したあとの言葉に表れていた。

「この5年が報われました」

 6年前、鳥海は将来の抱負をこう語っていた。

「いつか、日本らしさを確立して、世界の国々が学びたいと思うバスケットができるようになりたいですね」

 強豪国を次々に破り、アメリカと伍した戦いを見せ、海外でも高く評価された今大会は、それがかなった舞台ともなった。

「全試合を通して僕たちのディフェンス、『トランジション・バスケット』、このスタイルが世界に通用することが証明できました」

 でも、世界一という夢が残された。

 決勝という舞台で対峙し、具体的に見えた壁はまた乗り越えるべき壁となる。それが自身の成長と、日本代表の進化にもつながるはずだ。この先もまた、壁を越えることを胸に、進み続ける。

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