メジャーリーグPRESSBACK NUMBER
大谷翔平の疲労って実際どうなのか? シーズン完走のカギは「フリー打撃は“封印”」と「僕にしか分からない」マル秘調整
text by
斎藤庸裕Nobuhiro Saito
photograph byGetty Images
posted2021/08/25 06:01
40号HRに投げては8勝と好調をキープしている大谷。その秘密は、今季から始めた練習への“ある取り組み”にあった?
投打の練習時間は〈1時間以上→30分〉に短縮
投打の二刀流で調整することは、単純に考えれば投手と野手の練習が必要で、他選手に比べて量も時間もはるかに多くなる。シーズンは162試合。練習で疲労をためては本末転倒だ。だからこそ、「基本的にはピッチャーの準備をして、バッターの準備はそんなに外で打ったりしないので。普通に中(室内の打撃ケージ)でちょこっと打ってという感じ」と、バランス良く調整を続けている。
打者だけでなく、投手の試合前練習も今季はシンプルだ。ルーティンの壁当てとキャッチボール、登板間のブルペン投球の繰り返しで状態をキープ。全体練習には参加せず、独自の調整を任されており、同僚の投手陣の試合前練習が終わった後にグラウンドに姿を見せる時もある。昨年、投打の練習で1時間以上グラウンドで調整を行っていたこともあったが、今季は30分前後で切り上げ、練習量を最小限に抑えている。
大谷「1シーズン通してできるように」
今季は二刀流のスケジュールも従来とは大きく異なる。基本的に1週間に1度の登板だった1年目は登板の前日は投手の準備に集中するため、欠場。登板の翌日は休養日で、体の回復にあてていた。指名打者(DH)で4日間出場し、1日は先発、2日は休養というサイクルだった。
だが、今季のマドン監督は大谷の声を聞くことを最優先し、大谷から出場のゴーサインが出れば起用する方針を続けている。大谷はこれまでとは調整法を変え、効率を意識した練習で状態を安定させた。すると、開幕から投打でフル回転。「1シーズン通してできるように、頑張りたい」と掲げた目標の達成に近づきつつある。
シーズン序盤で右手の中指のマメで登板が大幅に遅れたことはあったが、大きな故障なく二刀流を継続。状態を維持しているとはいえ、疲労が見え始めた時もあった。7月12日に日本人初のホームランダービーに出場し、翌日はオールスター戦に先発。史上初の投打で出場した。前半戦を走り抜け、球宴で主役となり、後半戦に突入。最初の6試合は24打数4安打、打率1割6分7厘、1本塁打、4打点で本調子とは程遠い打撃だった。7月下旬、大谷は疲労について語った。
「出続ける勤続疲労のようなものはあると思うんですけど、どちらかというと無自覚でたまっていくような印象なのかなと思う」