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甲子園の“異変”…監督たちが悩む「打線に感覚のズレがある」 地方大会“65-0”&チーム打率5割の三重高はどう戦った?
posted2021/08/21 17:03
text by
氏原英明Hideaki Ujihara
photograph by
KYODO
3日連続の順延があった頃から異変が起き始めている。
夏の甲子園、各校の指揮官たちは「条件はどのチームも同じ」と前置きした上で、苦しい胸の内を明かしている。
前橋育英・荒井直樹監督はいう。
「試合まで数多くのボールを打つことはできたんですけど、なかなか実践的なものができなかった。試合からも離れていたので、対応が難しかったのかなと思います」
前橋育英は19日の第3試合で登場。京都国際に4安打完封に抑えられている(0-1で前橋育英が敗れた)。
翌20日の第2試合に登場した西日本短大付の指揮官・西村慎太郎監督もこう明かす。
「予選から3週間くらい空きましたので、高校生はどんな感じなのかなというのは見ていましたけど、相手投手のスピードボールに対応するのに時間がかかったかなと思います」
西日本短大付は5回まで無安打無得点に封じられ、二松学舎大付に4安打完封負け(0-2)を喫した。
この2日間(19、20日)で、6試合のうち半数が完封ゲーム。3日連続の順延があった頃から、完封試合は6試合を数える。特に共通しているのは、投手戦の展開が急に増えてきたことである。
西日本短大付の西村監督が指摘するように、大会の順延によって、実戦から3週間以上空いたことによる試合勘の鈍りは随所に出ていると言える。初戦の鹿島学園戦に7得点と快勝した盛岡大付・関口清治監督でさえ「調整が難しかった」と語り、京都国際の小牧憲継監督も「打線に感覚のズレがある」と吐露しているほどだ。
地方大会チーム打率5割の三重はどう戦うのか?
そう言った意味で、20日の第3試合・三重―樟南を個人的に注目していた。
三重は県大会の1回戦で65−0の圧勝を挙げたのを皮切りに、チーム打率5割をマーク。6試合100得点を記録して今大会に挑んできたからである。一方、樟南のエース左腕・西田恒河は鹿児島県大会決勝で完封勝利を挙げて勝ち進んできている。
大会順延が続くなかで、三重打線が好投手をどう打ち崩すか――。