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5発快勝発進のマンUに漂う“ポジティブな危機感”…約357億円の支援も決定し、9シーズンぶりの覇権奪還は夢物語ではない
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粕谷秀樹Hideki Kasuya
photograph byGetty Images
posted2021/08/21 17:01
![5発快勝発進のマンUに漂う“ポジティブな危機感”…約357億円の支援も決定し、9シーズンぶりの覇権奪還は夢物語ではない<Number Web> photograph by Getty Images](https://number.ismcdn.jp/mwimgs/e/b/700/img_ebfcff2b88797cecc3e5f6f212432f2e152849.jpg)
リーズ相手に5ゴールを奪い、最高のスタートを切ったマンチェスター・U。積極補強を敢行し、各ポジションで熾烈な競争が生まれている
また、ラファエル・バランの加入でビクトル・リンデロフが刺激された。昨シーズンまではレギュラーだったが、今シーズンはおそらく控えに回る。スールシャール監督の構想も、ディフェンスラインの中央はバランとハリー・マグワイアだ。
「おめおめと引き下がるわけにはいかない」
リンデロフはプレシーズンマッチから好調だ。気合がみなぎり、肉体にも緩みがない。開幕戦でも精度の高いフィードを再三にわたって配し、その存在をアピールした。
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CBの資質として、リンデロフは残念ながらバランを下回っている。敏捷性にやや欠けるマグワイアの相棒としては、スピード豊かなバランが望ましい。
ただ、リンデロフのフィード能力を1列前で生かせないものだろうか。中盤センターの現有勢力はフレッジとスコット・マクトミネイ。ともに運動量豊富で闘争心も旺盛とはいえ、パスセンスが凡庸だ。的確な状況判断で貢献するネマニャ・マティッチは今年33歳。フル稼働は難しい。ポグバは2列目の左サイドで生きる道を見いだした。中盤センターは人材不足である。
だからこそイングランドのメディアは、アトレティコ・マドリーのサウール・ニゲスやウォルバーハンプトンのルベン・ネベスなどの補強をまことしやかにささやいているのだろう。
いや、彼らの獲得に少なからぬ資金を投じるよりも、リンデロフのコンバートを優先できないだろうか。彼が1列前でもフィットすれば、フレッジとマクトミネイ、マティッチも刺激を受ける。リンデロフの中盤センター起用は、チームの活性化につながる配置転換だ。
数少ない懸念材料は右サイドバック
「主力と控えの間には、少なからぬレベル格差がある」
スールシャール監督は常日頃から嘆いていた。主力のコンディションが整っているときは問題ないが、彼らが疲弊したり、負傷したりすると、チーム全体のパフォーマンスが絶望的なまでに低下する。主力に無理を強いたスールシャール監督のマネジメントの落ち度も看過できないが、ユナイテッドに好不調の落差があったことは衆目の一致するところだ。
しかし、今シーズンのユナイテッドはサンチョとバランの加入により、各ポジションでポジティブな危機感が伝わってくる。ラッシュフォードはもちろん、エディンソン・カバーニもポジションは約束されておらず、GKはディーン・ヘンダーソンとダビド・デヘアが高いレベルで定位置争いを繰り広げるだろう。期待のサンチョもポジションは自分でつかみ取らなければならない。