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“女子ボクシング蔑視”張本勲氏の発言はもちろん大問題だが…一番悪いのは“炎上商法”を続けてきたTBSでは?
 

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鷲田康

鷲田康Yasushi Washida

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photograph byGetty Images(L),Tadashi Shirasawa(R)

posted2021/08/20 11:04

“女子ボクシング蔑視”張本勲氏の発言はもちろん大問題だが…一番悪いのは“炎上商法”を続けてきたTBSでは?<Number Web> photograph by Getty Images(L),Tadashi Shirasawa(R)

入江聖奈(左)の金メダル獲得を報じた際、「こんな競技を好きな人、いるんだ」などと発言した張本勲氏

まさに堂々とした“炎上商法”だ

 ただ、張本さんがそういうトンチンカンな発言をすると、ネットニュースがすぐさま「今日はこんな問題発言をしました」と取り上げ、そこで「けしからん」と炎上する。そうなると番組への注目が逆に高まり、実はここ数年は「サンデーモーニング」の張本さんのコーナーはTBSの全番組の中でもトップクラスの瞬間視聴率を叩き出していたのである。

 まさに堂々とした“炎上商法”だ。

 だから番組制作者も局も、むしろ問題になることを歓迎してきたのか、まったく対処することはなかった。張本さん自身もそんな“炎上商法”に、むしろ使命感を感じてさらに面白い発言をしなければならないと、こうした発言を繰り返してきたような節も見受けられた。

「ついにこういうことが起こったか……」

 張本さんを知る多くの球界関係者からこんな感想を聞いた。

野球の技術については、他では聞けない話がある

 起こるべくして起こった。予測はできた。それは番組を管理している側に大きな問題があるということなのだ。

 晩年の元ヤクルト監督の野村克也さんにも、その“ボヤき”をおもしろおかしく見せる番組があったが、それもTBSだった。

 急速に変化していく社会の中で、意識や価値観の変化にお年寄りがついていけないのは、仕方のないことである。そういうズレは見方によっては面白いし、笑いの対象になるのかもしれない。ただ、1つ間違えば批判を免れない問題を引き起こし、本人が社会からの攻撃対象となることがある。そういうリスクを80歳を過ぎたお年寄りに背負わせて、問題が起こったらフリーのアナウンサーに頭を下げさせる。それを会社は高みの見物というのでは、あまりに無責任と言わざるを得ない。TBSは今回の問題についてきちっと会見をして、これまでの経緯を説明した上で謝罪をすべきだろう。

 松井秀喜外野手が星稜高校から巨人に入団した1993年のプロ1年目のキャンプ。張本さんは臨時コーチとして松井選手の足を上げてタイミングをとる打ち方に「それではプロでは通用しない」と自らが実践してきた「摺り足打法」を伝授した。しかし松井選手はそれが合わずに逃げ回り、結局は張本さんの言うことを聞かなかった。ただ、それから2年後には徐々に足の上げ方が小さくなって、最終的には張本さんが教えていた「摺り足」に近いバッティングとなっていく。

 野球の技術については、張本さんの言葉にはまだまだ他では聞けない貴重な話が一杯あるはずなのだ。

 そういうレジェンドの言葉を伝えるのがメディアの役割であり、“炎上”や笑いの種にすることは、決して許されるものではないと思う。

記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。

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