Number Web MoreBACK NUMBER

なぜ張本勲は「偉そう」に「喝!」とか言うのか… 毎週“ムカムカしながら”見ている筆者がほめ殺す“5つの成績”とは <大打者がやることか?>

posted2021/08/22 06:00

 
なぜ張本勲は「偉そう」に「喝!」とか言うのか… 毎週“ムカムカしながら”見ている筆者がほめ殺す“5つの成績”とは <大打者がやることか?> <Number Web> photograph by Kyodo News

前人未到の3000本安打を筆頭に、張本勲は本当にすごい選手だった。だけど……

text by

広尾晃

広尾晃Kou Hiroo

PROFILE

photograph by

Kyodo News

日曜朝の番組で何かと物議をかもす発言をする張本勲氏。彼の「プロ野球選手としての実績」についての記事を再公開します(初公開:2017年6月14日、記録などすべて当時)

「喝!」のおじさん、張本勲は、野球の裏も表も知るすごい選手だった。くやしいがあっぱれだ!

 読者各位の中には、日曜の朝、四角い顔の血色のいいおじさんが発する「喝!」の声にむかむかしている人も多いのではないか。

 そう張本勲。「なんであんなに偉そうなんだ!」と思いながらも、ついつい見てしまう。「炎上商法」という言葉が辞書に載れば、「張本勲を見よ」なんて書かれそうだ。

 私も毎日曜日、むかむかしながら見ている。

 しかし今どきの若い人がむかむかするのとは、ちょっと違う。

 私はこのおじさんの現役時代を、この目で見ている。そして記録マニアとして、この人の記録を嫌というほどいじってきた。張本勲は同い年の王貞治とともに、アンタッチャブルと言ってよい記録を樹立した、野球史上の偉人なのだ。

 そんな偉い人が、横丁のアクの強いご隠居みたいに、なぜ若い者に「喝!」とか言うのか!

 若い読者各位よりも、私の「むかむか」の方が、さらに強い。つい朝のトーストを焦がしてしまうほどだ。

 今回は、「喝!」のおじさんがどんなすごい選手だったかを紹介する。「よいしょ」では決してない、「ほめ殺し」をしようと思う次第だ。

その1:アンタッチャブルな通算安打記録

 張本勲は、NPB史上唯一の3000本安打者である。NPBの安打数5傑はこの面々だ。

1位 張本勲  3085安打 打率.319
2位 野村克也 2901安打 打率.277
3位 王貞治  2786安打 打率.301
4位 門田博光 2566安打 打率.289
5位 衣笠祥雄 2543安打 打率.270
5位 福本豊  2543安打 打率.291

 NPBでは2500本以上も7人しかいない(7位は金本知憲の2539安打)なかで、際立っている。しかも終身打率.319は、歴代3位。

 張本は今の日本ハムの前身である東映に入り、1959年から1975年まで在籍、その後、巨人、ロッテと移籍した。

 張本在籍時の東映は1963、1964年に150試合制だったことがあるが、キャリアの大部分は130試合前後。今より1割も少ない試合数で、3000本をクリアした。

 私は巨人・坂本勇人に「張本超え」の期待をひそかに抱いているが、今のところ金田正一の400勝、王貞治の868本塁打とともにNPB史上のアンタッチャブル記録と言えるだろう。

 ああ、むかむかする。

【次ページ】 その2:日本で唯一の「生涯トリプル3」

1 2 3 NEXT
#張本勲
#北海道日本ハムファイターズ
#読売ジャイアンツ
#千葉ロッテマリーンズ

プロ野球の前後の記事

ページトップ