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甲子園は“五輪でも起きた”SNSの批判にどう向き合うか 「不満の声に順延を決めた?」の質問に大会本部は明言こそしないが…《今日も雨》 

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間淳

間淳Jun Aida

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posted2021/08/19 11:04

甲子園は“五輪でも起きた”SNSの批判にどう向き合うか 「不満の声に順延を決めた?」の質問に大会本部は明言こそしないが…《今日も雨》<Number Web> photograph by JIJI PRESS

降雨コールドとなった大阪桐蔭vs東海大菅生。今大会の運営について大会本部に質問してみたところ……

 大会本部には6、7件の電話があり、「9回までやらせてほしかった」、「雨が強くなったところで、すぐに中断すべきだった」、「雨が強くなるのは予想できたはず。試合を始めるべきではなかった」といった意見が寄せられたという。

ネット上の“不満”は順延決定に影響したのか

 議論が白熱したのはインターネット上だった。「昔とは気候が変わっているので、ドーム球場にするなど抜本的な見直しが必要」といった意見がある中、大半を占めていたのは「判断が遅い」、「選手が気の毒」などと大会運営に対する不満だった。

 こうした声は、18日の順延決定に影響したのか。

 大会本部は「順延は本日で6度目であり、その都度その都度、適切に判断するよう努めてきました。今後もそのように努めます」と答えている。

 高校野球ファンの声が、重大な決定にどの程度関係するのかは分からない。ただ、インターネットを中心とした世論を無視できない動きが加速しているのは事実だ。

東京五輪でも起きた厳しい世論の反応

 東京五輪では、当初予定されていた会場での酒類販売が見送られた。背景には、新型コロナウイルス感染拡大で国民は会食を自粛するよう求められ、飲食店は営業を制限される中、矛盾を指摘する厳しい世論の反応があった。SNSでは、酒類を販売するメーカーへの不買運動も起きていた。

 会場に観客を入れることについても、SNSや報道各社の世論調査で強い反発が起きていた。

 結果的に、首都圏以外の一部の県で実施された競技を除いて無観客で開催されることになった。東京五輪では大会組織委員会の森喜朗前会長をはじめ、重要ポストの解任や辞任が相次いだが、これも世論の抵抗を受けた形といえる。少し前の日本であれば、“力のある”人たちが、市井の人の力によって要職を去るのは考えにくかった。

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