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メダリストが明かす“コロナ後遺症の恐ろしさ”「跳ぶという動作が自然にできない」「代表になれないんじゃないかと…」 

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及川彩子

及川彩子Ayako Oikawa

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posted2021/08/07 17:05

メダリストが明かす“コロナ後遺症の恐ろしさ”「跳ぶという動作が自然にできない」「代表になれないんじゃないかと…」<Number Web> photograph by Getty Images

女子棒高跳びで金メダルを獲得したケイティ・ナジョット。彼女は昨年12月に新型コロナウイルスに感染して“後遺症”に悩まされた選手の1人だ

「久々に練習に行ったら、足がふらふらで力が入らなくて走ることもポールを持つこともできなかった」

 体調不良に続き、さらに異なる後遺症が彼女を襲った。『ブレインフォグ』という頭に靄がかかったような症状だ。

「テレビでクイズ番組を見ていた時に答えがわかっているはずなのに、頭がぼんやりしてすぐに答えが出てこなくて、しばらくすると質問も忘れちゃうみたいなこともあった。ずっとこのままだったらどうしようと思った」

 練習にも支障が出た。

 ウォームアップをし、跳躍練習に入る際に、その一連の動作が体に染み付いているはずなのに、脳から体に伝達がいかない。ポールを持って走り、ボックスにポールを差し込み、跳ぶという動作が自然に行えない状態になった。

「棒高跳びは瞬間的に動作をしていかなきゃいけない種目なのに、全然、その判断ができなくなった」

「不安で不安でたまらなくて、よく泣き崩れていた」

 インターネットなどでコロナ後遺症の情報はあったが、具体的な治療方法などはなく、それも一層、不安を煽った。

「不安で不安でたまらなくて、家族やボーイフレンド、コーチの前でよく泣き崩れていた。オリンピックどころか、このままずっと頭がぼんやりしたままなんじゃないかと思うこともあった」

 神経系、脳神経などの医者、セラピストなどのもとにも訪れたが、なかなか解決策は見つからなかった。

「休養と栄養のある食事をしっかり摂って、あとは時間の経過を待つしかなかった」

 ナジョットはそう話す。

 後遺症に悩む人たちの多くは、周囲の理解が得られないことにも苦しんでいるが、幸か不幸か彼女のコーチもコロナに感染し、同じ症状を経験したことから、「慎重に1日1日を過ごした」と言う。

 五輪を出場した現在は「ほぼ100%」に戻っているが、薄暗い室内で物が見えにくいという問題があると言う。

「オリンピックでは夜の試合だったので心配だったけれど、照明設備が素晴らしかったので、問題なく跳躍ができた」と安堵の表情をしていた。

2)「10秒台は間違いない」と思っていた矢先…

 4×100mリレー予選、米国の3走を務めたイングリッシュ・ガードナーの表情は明るかった。

 リオ五輪に続く米国代表。前回は100mにも出場したが、今回はリレーのみで「個人で走れなかったのは残念だったけれど、でもリレーで選ばれて、こうして走れたのは光栄。正直、代表になれないんじゃないか、と心配だった」。6月中旬の全米オリンピック選考会、女子100m決勝6位に終わったガードナーは、レース後の取材時にこみあげるものを抑えきれなかった。

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